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ひとえきがたり

熱き住民たち 激論の結晶 由布院駅(大分県、JR久大線)

2011年2月1日

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写真:特急「ゆふいんの森」が滑り込んだ夕方の由布院駅=上田頴人撮影拡大特急「ゆふいんの森」が滑り込んだ夕方の由布院駅=上田頴人撮影

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 特急列車が到着し、陽気なしゃべり声がホームにあふれ出した。観光客は床下を温泉が流れる暖かなコンコースを抜け、由布岳を望める正面口へと向かっていく。

 JR由布院駅(大分県由布市)は、建築家の磯崎新さんが初めて手掛けた駅舎だ。県産杉を使い、老朽化した古い駅舎を1990年に改築した。ホームとコンコースを仕切るのはガラス扉。開け放たれ、駅員が「ようこそ」と声を掛けて切符を受け取る。

 1970年代に住民による町おこしで一躍知られるようになった温泉地。ゆえに、高名な建築家による駅舎建設といえども、住民たちは黙って見てはいなかった。

 旅館・亀の井別荘社長の中谷健太郎さん(76)によれば、駅をテーマに侃々諤々(かんかんがくがく)。そもそも駅とは誰のものなのかと、夜は酒を酌み交わしながら熱い議論を続けた。条例の制限を超す20メートルで当初設計された駅舎の高さは、例外を作れないと12メートルに。「磯崎さんが言うには、こんな小さな建物であんなにもめたことはないらしい」と中谷さん。「でもご本人は気に入ってるの」

 本格的に冷え込んだある夜、由布院駅長の後藤静昭さん(53)の家に老舗旅館や土産物屋の後継者、辻馬車の御者ら地元の若手十数人が集まった。鍋を囲みながらざっくばらんに話し、とことん飲んだ。昨年春に着任した後藤さんは、町の行事には全部出ると決めている。「地元の人と一緒にならないと、心からのもてなしなんて出来ないよ」。顔を赤らめた後藤さんが言った。

 吹き抜けから自然光が降り注ぐ駅舎のコンコース。日が暮れると、今度は駅舎の明かりが塔を抜け、ぼんやりと町をともした。(酒井摂)

■沿線ぶらり

 JR久大線は久留米駅(福岡県久留米市)と大分駅間の141キロ。由布院駅(電話0977・84・2021)は博多駅(福岡県)発着のリゾート特急「ゆふいんの森」のターミナル駅。構内にはアートギャラリーでもある待合室のほか、観光案内所や足湯(有料)がある。駅では月に1回、駅社員による由布院温泉神楽が上演される。

 別府湾に注ぐ大分川の源流である金鱗湖へは駅から徒歩30分ほど。水温が温かいため、冬季には湖面に湯気が上る。町を走る辻馬車は冬季休暇中。3月1日が「辻馬車開き」となる。

■興味津々

 昨年夏に発表された由布院発のオリジナルブランドYUFUIN PLUS。シンプルなデザインの手ぬぐいやハンドタオル、せっけんなど多彩なアイテムがそろう。「由」の字を贈り物の包みなどに見立てたロゴマークが目印。市内の旅館や小売店で。いずれも問い合わせは由布院観光総合事務所(電話:0977・85・4464、[前]9時〜[後]5時)へ。

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