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ひとえきがたり

ゆるり流れる南阿蘇タイム 長陽駅(熊本県、南阿蘇鉄道高森線)

2011年5月3日

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写真:ホームでお客さんと話す久永さん(左)。トロッコ列車が走り込む=比田勝大直撮影拡大ホームでお客さんと話す久永さん(左)。トロッコ列車が走り込む=比田勝大直撮影

地図:  拡大  

 築83年の木造駅舎に、シフォンケーキを焼く甘い香りが漂う。熊本県の長陽駅では、週末と祝日にカフェ「久永屋」が開く。

 佐賀県出身の久永操(そう)さん(30)が、無人駅の事務室を改装して開店したのは4年前。東京での生活を切り上げ、両親が移り住んでいた熊本県南阿蘇村にやってきた。そば屋やケーキ屋のアルバイトをしながらカフェ開業を目指し、駅舎を管理する「駅長」になって夢をかなえた。

 初めてホームに立ったのは夏だ。阿蘇山のふもと、目の前に広がる田んぼの青い稲穂が、吹き渡る風にそよいでいた。「時間が止まる駅だと思いました」

 朝6時ごろ、久永さんはケーキを焼き始める。昼前には散歩がてらの常連客や観光客が続々と姿を見せる。コーヒーを待ちながら、ホームで将棋をさしたりキャッチボールをしたり。1時間に上下1本ずつほどしか列車が来ない駅で、おのおのがゆるりと過ごす時間を、久永さんは自慢げに「南阿蘇タイム」と呼ぶ。

 「人との出会いが楽しくて」。店に流れるジャズや趣味の写真の話で盛り上がり、県外から何度も来る人もいる。「若い人が増えた」と70代の常連客は喜ぶ。

 シフォンケーキを買いに来た近所の主婦が、久永さんに「お茶でも飲んでいったら」と誘われて叫んだ。「ここは絶対長居するけん、今日はだめだめ」

 山の端が西日でくっきりと光る。これから夏に向け、阿蘇の大地は生命力みなぎる緑にあふれていく。(塩見圭)

■沿線ぶらり

 南阿蘇鉄道高森線は、立野駅(熊本県南阿蘇村)と高森駅(同県高森町)を9駅で結ぶ17.7キロ。週末と祝日のみ、1日2往復のトロッコ列車が走る(3〜11月)。立野駅と長陽駅間の渓谷に架けられた第一白川橋梁は、谷底の川面からの高さが約60メートル。絶景を楽しんでもらうため徐行運転で渡ることもある。

 長陽駅から3駅先は、日本一駅名が長いという南阿蘇水の生まれる里白水高原駅。その隣の中松駅の駅舎内ではそば処 南阿蘇一心庵が週末と祝日のみ営業。久永さんが「師匠」と呼ぶ中原誠さんがそばを打つ。

■興味津々

 久永屋は保存料も着色料も無添加のシフォンケーキの店。春は日向夏、夏はブルーベリーなど季節限定品も。[前]11時ごろ〜[後]6時ごろ。電話長陽駅舎内本店久永屋(0967・67・3205)。平日は車で行商する。

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