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ひとえきがたり

のんびり加減が面白い 高須神社停留場(大阪府、阪堺電車阪堺線)

2011年6月28日

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写真:神社の社殿(踏切の奥)と隣り合わせの高須神社停留場。安井寿磨子さんは今も週3回はチンチン電車に乗る=塚原紘撮影拡大神社の社殿(踏切の奥)と隣り合わせの高須神社停留場。安井寿磨子さんは今も週3回はチンチン電車に乗る=塚原紘撮影

写真:『こどもほじょりん製作所』(安井寿磨子著、講談社・1575円) 拡大『こどもほじょりん製作所』(安井寿磨子著、講談社・1575円)

図:高須神社停留場(大阪府、阪堺電車阪堺線) 拡大高須神社停留場(大阪府、阪堺電車阪堺線)

 大阪府堺市に住む銅版画家の安井寿磨子さん(51)は、初めて手がけた絵本に幼い頃の思い出をつづった。最初のページに描いたのは「私にとっての箱庭みたいな、懐かしい記憶をぎゅっと凝縮させたもの」。慣れ親しんだ近所の風景と共に、大好きな阪堺(はんかい)電車を描いた。

 阪堺電車は大阪市と堺市をつなぐ、大阪府唯一の路面電車。時速は20〜30キロ。車窓からの風景はゆっくり通り過ぎる。書籍の装画も多く手がけ、他の電車では必ず本を読む安井さんも「チンチン電車では読みません。外を見るのが面白いから。沿線に咲いてる花をぼんやり眺めたりできる、こののんびり加減が好き」。生まれ育った高須神社停留場の辺りは、家々のすぐ横をガッタンガタン揺れながら走る。「朝寝てると音が聞こえたし、家が揺れた」ほど身近な生活路線だ。

 車道も走るため、ダイヤは正確とはいかない。各停留場に止まるから並走する私鉄に速さでもかなわない。利用者は1981年をピークに減り続けている。それでも、赤字で廃線案が持ち上がると存続を求める会が結成されたり、観光客ばかりでなく見慣れたはずの地元住民がカメラを向けたりする存在でもある。

 1月、堺市は本格的な支援を始めた。向こう10年で50億円程度を見込む。市建築都市局交通部の中辻洋喜主査(34)は「阪堺電車は単なる交通機関ではなく、市の顔。文化資産と捉えたい」。その魅力が見直されつつある。(河内奈々)

■沿線ぶらり

 阪堺電車阪堺線は、恵美須町停留場(大阪市浪速区)と浜寺駅前停留場(大阪府堺市)を結ぶ14.1キロ。堺市による支援で、これまで大阪市内の停留場まで290円だった運賃が、1月から200円(小児100円)になった。

 堺市は昔から鍛冶職人が多く、刃物や自転車産業がさかん。三つ南の妙国寺前停留場近くに堺刃物伝統産業会館(電話072・227・1001)があり、その歩みを紹介するほか包丁などの販売も行う。五つ北にある住吉鳥居前停留場は、正月三が日には200万人を超す人が参拝する住吉大社の玄関口だ。

■興味津々

 『こどもほじょりん製作所』は安井さんの自伝的絵本。熱血漢のお父ちゃんは自転車の補助輪を作る職人。おっとりした性格のすまこは、9歳になっても補助輪が外せない。春休み、2人は補助輪を取る特訓を始める。講談社・1575円。

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