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ひとえきがたり

笑顔が似合う不便なホーム 筒石駅(新潟県、JR北陸線)

2011年7月26日

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写真:電車を出迎える小田嶋嘉秋さん(中央)。ホームは湿ったにおいがする=馬田広亘撮影拡大電車を出迎える小田嶋嘉秋さん(中央)。ホームは湿ったにおいがする=馬田広亘撮影

写真:筒石駅発行の青春18きっぷ(常備券)拡大筒石駅発行の青春18きっぷ(常備券)

写真:筒石駅(新潟県、JR北陸線)拡大筒石駅(新潟県、JR北陸線)

 電車が隣駅を通過――。自動放送が流れると、駅窓口にいた駅員の小田嶋嘉秋さん(64)がよっこいしょ、と腰をあげた。到着まで約5分。300段近い階段を下り、緩やかにくだる通路を抜けた地下約40メートルに、目指すホームはある。

 かつて海沿いにあった線路が、度重なる地滑りのため山の下を突っ切る現在地に移ったのは1969年。筒石駅周辺は全長約11.4キロの頸城(くびき)トンネルが貫通し、住民の要望でその中に駅ができた。ホームへの通路は工事の際の斜坑を利用、エレベーターもエスカレーターもない。

 ひんやりするホームは、電車が通るとトンネル内を押されてくる風が一気に吹き抜ける。特急だとよろけるほどだ。1日28本の電車到着には必ず駅員が立ち会い、降りた客がホームを出るまで見届ける。「3人降りました。1人は見学してから行くって」。最後に内線電話で窓口に連絡し、全員地上に出たか確かめる。

 日勤の駅員は1日に10往復、1万3千歩以上歩く。小田嶋さんは着任10年で体重が10キロ減った。革靴ではもたないからと特例で認められた黒い運動靴で、階段を上る足取りは軽い。

 乗降客は1日100人ほど。見知らぬ顔には人なつこい笑顔で「どっから来たの」。「なぜここに駅が?」「港まで行っても次の電車に間に合うかな」。質問に答えるうちに長話になる。不便な駅だからこそ「笑顔と言葉を大切にしたい」と小田嶋さんは笑った。(横田麻生子)

 筒石駅(糸魚川市)から徒歩約12分。海に向かって下ると、旧北陸線のれんが造りの橋脚を見られる。1駅隣の能生(のう)駅から徒歩20分で、能生白山神社。本殿は国の重要文化財、神社の森・社叢(しゃそう)は国の天然記念物。地域の歴史を知るなら能生歴史民俗資料館へ。建物は雪国に適した「中門造り」で考古資料や生活用具等を展示。入館料100円、高校生以下50円。[前]9時〜[後]4時半。市教育委員会文化振興課(電話025・552・1511)。

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