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2012年2月14日
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ひとえきがたり

ホームの餅売り、一世紀 峠駅(山形県、JR奥羽線)

写真:「峠の力餅」を抱えた小杉敏子さんの前に列車が入ってきた=馬田広亘撮影拡大「峠の力餅」を抱えた小杉敏子さんの前に列車が入ってきた=馬田広亘撮影

写真:米沢牛炭火焼特上カルビ弁当拡大米沢牛炭火焼特上カルビ弁当

図:  拡大  

 前日まで降り続いた雪は、スノーシェッドにすっぽり覆われたホームにまで吹き込んでいた。山形県米沢市の峠駅は標高626メートルにある無人駅。今年はいつにない大雪に見舞われている。

 「ちからーもちー」。列車が滑り込むと、木箱を提げた小杉敏子さん(59)が声を上げる。名物「峠の力餅」の駅売り。100年以上続く光景だ。「一つちょうだい」。開いたドアから顔を出した年配の男性が、敏子さんを呼び止めた。

 奥羽線のトンネル工事に従事した初代が茶屋を開いたのが始まりだ。駅が開業するとまもなく、店で人気だった大福餅を駅構内で売り歩くようになった。敏子さんの夫・隆秀さん(62)は4代目。早朝と夜を除き、列車の到着に合わせ、家族と交代でホームに立つ。

 力餅は、雪のない季節に温泉客向けに営む食堂「峠の茶屋」で売っている。今の時期は1日6〜8回の駅売りと注文販売のみだ。急勾配をジグザグに上るスイッチバックの時代は長いと十数分停車したが、今は30秒ほど。「言葉を交わしながらの駅売りはもう難しい」と隆秀さん。

 今は「合格祈願紅白力餅」を併せて売っている。「人生の峠越え」に掛けた餅は、関東の私立高校から大口の注文が入るなど、徐々に知られるようになった。

 力餅の駅売りは、これからも続ける。敏子さんが言う。「これを目当てにおいでくださる人のために。のれんを守るって、そういうことでしょ」(牧野祥)

■沿線ぶらり

 JR奥羽線は福島駅(福島市)と、山形、秋田両県を経由し青森駅(青森市)との間を結ぶ484.5キロ。

 渓流沿いに露天風呂がある滑川温泉へは峠駅から車で15分。標高約1300メートルの奥深い谷間にわく姥湯温泉は車で30分。送迎あり。いずれも一軒宿で、営業は4月下旬〜11月初旬。

 3駅先の米沢駅からバスで10分の松が岬(さき)公園は米沢城跡。上杉謙信をまつる上杉神社や上杉鷹山らをまつる松岬(まつがさき)神社がある。米沢市内には計八つの温泉があり湯巡りができる。電話米沢観光物産協会(0238・21・6226)。

■興味津々

 米沢駅ホームでは老舗2軒が駅弁を販売している。松川弁当店(電話0238・29・0141)の人気商品は米沢牛炭火焼特上カルビ弁当(写真、1500円)。新杵屋(電話0238・22・1311)では、牛そぼろと牛肉煮をたっぷりのせた牛肉どまん中(1100円)が一番人気だ。

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