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2012年5月15日
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ひとえきがたり

駅長手打ち 出雲そばいかが 亀嵩駅(島根県、JR木次線)

写真:列車の到着に合わせて「弁当そば」を手売りする杠哲也さん=渡辺瑞男撮影拡大列車の到着に合わせて「弁当そば」を手売りする杠哲也さん=渡辺瑞男撮影

写真:亀嵩駅 扇屋そば拡大亀嵩駅 扇屋そば

地図:  拡大  

 「駅長さん、ロケ地はどこにあるの?」「松本清張も食べに来た?」

 島根県奥出雲町は、清張の小説『砂の器』の舞台。刊行は1961年、映画化は74年だが、今も多くのファンで連日にぎわう。

 その最寄り駅、JR亀嵩駅は、駅舎そのものがそば屋の店舗だ。71年に切符の販売を委託された杠(ゆずりは)隆吉さん(80)が、業務室だった部屋を利用し、準備期間をへて2年後に「扇屋そば」を開いた。現在は息子の哲也さん(49)が2代目の駅長兼店長を引き継いでいる。清張ファンの客同士で会話が盛り上がるのは日常茶飯。「私が質問に答えるより先に、他の人が答えてくれます」と笑う。

 店に集まるのは、ファンだけではない。清張も食べたという、そのそばの味に魅了されて通う人は多い。殻付きのままひいた国産のそば粉と、奥出雲の天然水を使って毎朝手打ちされるそばは、黒っぽく、香り高いのが特徴。他県から毎週車で訪れる常連もいる。

 「そばの味も、駅の雰囲気も、ずっと同じままであり続けるのが目標」と哲也さん。若い頃に映画を見て旅した人が、定年を迎え40年近くたって再訪し、当時のままの亀嵩を懐かしんでいたという。「いつ来ても同じ、皆さんそれを喜んでいるように感じます」

 「変わらぬ味を、食べに来てごしなはい」。出雲弁の温かさが、そばの味とともに心に染みた。(中村さやか)

■沿線ぶらり

 木次(きすき)線は宍道駅(松江市)と備後落合駅(広島県庄原市)を結ぶ81.9キロ。

 4月から11月の間、木次駅(一部出雲市駅発)−備後落合駅間でトロッコ列車奥出雲おろち号が走る。映画「砂の器」のロケが行われた湯野神社へは車で5分。入り口には松本清張自筆の記念碑が立つ。

 道の駅酒蔵奥出雲交流館へは車で5分。地酒が並び、日本酒・焼酎・甘酒の試飲コーナーも。「砂の器」がドラマ化された際の、駐在所のロケセットなども展示している。電話奥出雲酒造(0120・018849)。

■興味津々

 扇屋そば(電話0854・57・0034)の人気メニューは、冷たい割子そば(手前)と温かい釜揚げそば(後方、各680円)。弁当そば(500円)は事前に電話予約すれば、列車到着時にホームで受け取れる。

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