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2012年6月12日
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ひとえきがたり

時間忘れる、眼下の棚田 姨捨駅(長野県・JR篠ノ井線)

写真:姨捨駅から棚田(右奥)を望む。3日、オーナーたちが田植えをした=馬田広亘撮影拡大姨捨駅から棚田(右奥)を望む。3日、オーナーたちが田植えをした=馬田広亘撮影

写真:姨捨駅からの夜景イメージ拡大姨捨駅からの夜景イメージ

地図:  拡大  

 ホームに立つと、下からの風が顔をなでる。長野県千曲市の姨捨駅周辺からの眺めは「日本三大車窓」の一つ。目の前に、千曲川流域の広大な盆地「善光寺平」が広がる。眼下の「姨捨の棚田」は、遅い田植えの季節を迎えていた。

 金井今朝男さん(70)は、代々ここでコメを作ってきた。昔は小麦との二毛作。傾斜地に、大小約1800枚の水田が重なる。今も、機械が入らない場所は手作業だ。苦労のない季節はない。

 それでも、ここには寒暖差にわき水、粘土質の土という、おいしいコメを作る条件がそろっている。「ご飯が冷めてもおいしい」と金井さんが自慢する。

 棚田は個々の農家のほか、金井さんが会長を務める「名月会」など四つの地元団体が管理している。一部を市の「棚田貸します制度」に応募した県内外の人たちが借り、名月会の指導でコメを作る。

 2010年、姨捨の棚田は国の「重要文化的景観」の一つに選ばれた。駅のホームには展望台が造られ、この時期は「水鏡の棚田」を見に観光客が増える。

 埼玉県在住の植村美津子さん(62)は「時間を忘れる静けさ」が好きで、今年も駅にやってきた。外に向いたベンチに座り、おにぎりを食べて本を読む。「去年は4時間ここにいたよ」と笑った。

 雲の影が次々と善光寺平の市街地を横切っていく。夕方、農作業の終わりを待っていたかのように、棚田の方からカエルの声が聞こえてきた。(塩見圭)

■沿線ぶらり

 JR篠ノ井線は、長野市の篠ノ井駅から長野県塩尻市の塩尻駅をつなぐ66.7キロ。

 姨捨駅は1900年開業のスイッチバック式の無人駅。休日の日中は地元ボランティアが観光客向けにお茶のふるまいも。

 駅から徒歩15分で長楽寺。観月の寺として松尾芭蕉ら文人が訪ねたとされ、中秋の名月のころ市内で全国俳句大会が開かれる。長楽寺から望む四十八枚田は小さな棚田が約40枚残り、昇る月が次々と水面に映し出されるという「田毎(ごと)の月」で知られる。松本城は、七つ隣の松本駅から徒歩15分。

■興味津々

 善光寺平の夜景を楽しむなら臨時快速列車ナイトビュー姨捨で。長野駅発着で姨捨駅に1時間ほど停車する。ボランティア「楽知会」の夜景ガイドも。7月20日から週末を中心に運行、要予約。電話JR東日本お問い合わせセンター(050・2016・1600)。

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