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2012年7月3日
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ひとえきがたり

歌声列車 ひとときの潤い 盛駅(岩手県・三陸鉄道南リアス線)

写真:1曲踊れば汗だくに。開け放たれた窓からの風が心地よい=馬田広亘撮影拡大1曲踊れば汗だくに。開け放たれた窓からの風が心地よい=馬田広亘撮影

写真:ちっちゃなクレープ屋さん「三鉄クレープ」拡大ちっちゃなクレープ屋さん「三鉄クレープ」

地図:  拡大  

 台風一過の20日、岩手県大船渡市の盛駅3番ホーム。「停車中」の列車に、年配の20人ほどが喜々として乗り込んでいく。この日は「復興歌声列車」と銘打った、月1回のカラオケ大会の日だ。

 2011年3月11日、盛駅は川をさかのぼってきた津波に列車もろともつかった。被災した三陸鉄道の南北2線のうち、南リアス線は今も全線が不通のままだ。昨年10月、駅舎を住民たちの交流の場に活用しようと、市民団体が「ふれあい待合室」を開いた。駅舎の待合所では麦茶が振る舞われ、鉄道グッズや地元の女性たちによる手芸品が並ぶ。

 カラオケは、すぐに演歌で予約がいっぱいになった。自分の番でなくても口ずさみ、合いの手を入れる。通路では、自己流の踊りが始まった。

 「花街の母」を歌った神原(かんばら)津恵子さん(67)は、陸前高田市からやってきた。家は「ぜーんぶ流されちゃったわ」。今は仮設住宅に1人で暮らす。「一時でも不安を忘れたいから、ここで歌うのよ」と笑う。勤めていたホテルも津波に襲われ、仕事を失った。「ホテルが再建されたら、娘の披露宴を一番にさせてもらうの。それまでは頑張らなくっちゃ」

 最後に「北国の春」を大合唱した。よく歌い、よく笑い、よく踊った3時間。心を潤わせ、青空の中を家路についた。南リアス線は一部で復旧工事が始まった。三陸鉄道は14年春の南北全線開通を目指している。(塩田麻衣子)

■沿線ぶらり

 三陸鉄道南リアス線は、盛駅と釜石駅(岩手県釜石市)を結ぶ36.6キロ。全線復旧に先立ち、盛〜吉浜駅間の部分開業を2013年4月に予定している。

 ふれあい待合室(電話0192・47・3542)では、ツバキがモチーフの手芸品や、この地域のおやつで「がんづき」と呼ばれる蒸し菓子を販売。衣料などの支援物資やバスの時刻表も置く。震災前はJR大船渡駅前に店舗があったSANEN(サネン)が、同待合室内で臨時営業中。サンドイッチやケーキなどを提供する。[火]と第3[日]休み。いずれも[前]10時〜[後]5時。

■興味津々

 盛駅近くのちっちゃなクレープ屋さん(電話090・8780・4744)で人気なのは三鉄クレープ(380円)。手作りのホイップクリームにイチゴとブルーベリージャムで鉄道車両を表現した。ウミネコをかたどったチョコレートがのせてある。

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