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薬師如来坐像 黒石寺

2006年07月11日

写真

薬師如来坐像(黒石寺提供)

地図

■黒石寺(0197・26・4168)へ要連絡。東北新幹線水沢江刺駅からはタクシー15分。

■北の地見守る豪快な姿

 中尊寺を離れ、最寄りのJR平泉駅から電車で20分足らずの岩手路の旅。水沢駅で降り、目指す黒石寺(こくせきじ)までのバス便を尋ねると、本数が限られているとのこと。午後からの往復ならば、タクシーが無難なようである。

 20分ほど走り、とうとうと流れる北上川を渡る。ほどなく石段の続く門前で止まった。薬師堂の厨子(ずし)に安置されていた本尊の薬師如来坐像(ざぞう)は、今では収蔵庫に移されている。

 それにしても豪快な彫像だ。頭も体つきもどこか三角形。足の辺りの衣のひだは、ただ彫ってあるという印象で、写実も調和もお構いなし。カツラ材から彫り上げ、内側をくりぬき、平安初期(862年)につくられたと墨で記されている。銘文によって制作年がわかる平安仏の中でも最初の作例という。

 当時の国家は東北にも版図を広げ、802年には胆沢(いさわ)城を築くことで北上川中流域までを手中にした。とはいえ、寺伝などによると、蝦夷(えみし)と呼ばれた現地の人たちの抵抗は続き、盤石の支配ではなかったようだ。

 黒石寺は胆沢城内にあった神社とゆかりが深く、現世での安楽を願う薬師如来への信仰を集めたとされる。いわば北の境界線での守護仏。東北のバイタリティーにおののき、触発されるようにして、破格の彫像が生み出されたのだろうか。

(森本俊司、協力は京都大大学院・根立研介教授)




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