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「科捜研の女」 法輪寺(京都市西京区)

2009年8月26日11時12分

写真:「科捜研の女」など多くのドラマでロケ地になってきた法輪寺=京都市西京区、木元写す拡大「科捜研の女」など多くのドラマでロケ地になってきた法輪寺=京都市西京区、木元写す

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■歴史の舞台、人の業つつむ

 桂川にかかる渡月橋が見渡せる創建1300年の法輪寺(京都市西京区)。嵐山の中腹、観光客がそぞろ歩くコースから少し奥まったところにある。撮影に集中できるロケ地として、テレビスタッフの評価は高い。京都府警の法医研究員、榊マリコ(沢口靖子)が難事件を追うドラマ「科捜研の女」シリーズ(テレビ朝日系)をはじめ、多くの作品に登場してきた。

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 「いにしえからの歴史の舞台・京都で撮影すると、映像に人の業みたいなものを包み込む力を込められる」。「科捜研の女」のほか、「京都迷宮案内」(橋爪功主演)など数々のミステリードラマを手がけてきたテレビ朝日の菊池恭プロデューサーが、そう教えてくれた。

 たとえば、殺人犯の動機や手口についての描写。東京のビル街だと生々しく響きすぎるセリフも、嵐山の映像を織り込めば“中和”される。修学旅行で訪れるなど、多くの人の記憶にある地だからなのか。歴史のうねりの中で、人々の様々な思いが刻まれてきた、というイメージが、みる側の下地にもあり、昔からの人間関係やしきたりの束縛の中で人々が生きている感覚が伝わりやすい。

 それだけに「家業を守るために」「恋人の身代わりに」悪事に手を染めるといった、善人がアリ地獄に落ちていくようなサスペンスドラマの展開によく合うのだという。

 また京都では、出演する役者がほかの仕事と掛け持ちしづらく、効率よく制作が進められる。昔からドラマや映画の制作を担ってきた東映や松竹関係の撮影スタッフがそろい、東京の放送局としても不自由はない。

 法輪寺にはテレビと不思議な縁もある。境内には電波や電気を守護する「電電宮」があり、半世紀以上前から「電気電波関係業界の発展」が願われてきた。関西の放送局が購入した中継車や、衛星放送局が使用する衛星の「無事運行」を祈願することが時々ある。

 「ロケ地になるのは京都の文化。寝食を忘れ、撮影をしているスタッフを応援したくなる」と語る藤本高仝(こうぜん)副住職(50)は理解ある人だ。

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 本堂に向かう参道には長い石段がつづく。結構な角度であり、ふたりがもみあいになり、突き飛ばされた方が転げ落ち、死に至る……といった「現場」として描かれてきた。

 その段数は偶然だが、除夜の鐘の音と同じ108。一歩一歩、踏みしめながら帰った。暑さは厳しく、涼感が恋しい。「どこか店に入って、冷えたビールに、ギョーザや」などと、わが煩悩は膨らむばかりだった。(木元健二)

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