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「こちら葛飾区亀有公園前派出所」 亀有(東京都葛飾区)

2009年9月2日11時49分

写真:亀有駅近くの商店街。懐かしい雰囲気の店が並ぶ=東京都葛飾区亀有3丁目、村瀬写す拡大亀有駅近くの商店街。懐かしい雰囲気の店が並ぶ=東京都葛飾区亀有3丁目、村瀬写す

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■古き日本の面影に寄り添う

 「こち亀の両さんの町」。多くの町工場が軒を並べる東京の下町、東京都葛飾区の亀有地区は、今やそう説明するのが最もしっくりくるだろう。

 TBS系で8月に放送が始まったドラマ「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の舞台。マンガ誌「週刊少年ジャンプ」で76年から連載が続く、同名の原作マンガの舞台でもある。交番勤務の警察官・両津勘吉が、遊びに、金もうけに、と走り回る姿が笑いを誘う。

    ◇

 ドラマで両津を演じているのはSMAPの香取慎吾。原作と違って若くスマートなイメージがあるが、意外にも下町の空気になじんでいる。ロケの合間に上がり込んだ家で、コーヒーをごちそうになることもあるらしい。そうした人なつっこさは、両津に相通じる。

 亀有地区の中心、JR亀有駅に降り立つと、北口、南口の両方で両津の銅像が出迎える。

 「『こち亀』を地域の呼び物にしよう」と考えた地元商店街が06年に相次いで設置した。像の前では記念写真を撮る親子連れの姿が絶えない。

 南口を出て横断歩道を渡ると、商店街「ゆうろーど」の入り口だ。住民のぬくもりが感じられる素朴な構えの商店が連なる。東に約200メートル離れた香取神社とともに、ドラマのロケで度々使われている。

 ゆうろーどで和菓子屋「伊勢屋」を営む佐藤尚吾さん(44)は、原作者の秋本治さんの許可を得て、98年から「両さんどら焼き」を売り出した。

 両津の顔が描かれたどら焼きは話題になり、一時は1日に約3千個を売り上げた。最近は海外にも知られているようで、観光に来た外国人がどら焼きを買っていくという。

 「かつては亀有を『寅さんの柴又の隣』と紹介していたけれど、今やすっかり有名になった。これも『こち亀』のおかげです」。佐藤さんは笑顔を見せる。

    ◇

 「こち亀」が多くの人に愛されるのはなぜだろう。一つには浅草の「花やしき」や隅田川のような下町の風景や文化が頻繁に登場することが挙げられる。古き良き時代の日本の面影を残す地域に密着した物語が、「この場所、知ってる!」との親近感を呼び覚ますのだ。

 TBSの高橋正尚プロデューサーは「亀有は人情があって、他人の世話をつい焼きたくなるような人が多い。みんな『こち亀』を愛していて、温かく受け入れてくれる」と話す。

 訪れてみて、地域の人たちの息遣いに寄り添った作品の温かさと、人情に厚い土地柄の融合の妙に気づかされた。(村瀬信也)

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