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「あの戦争は何だったのか」 茨城県三の丸庁舎(水戸市)

2009年9月16日11時28分

写真:庁舎4階付近の階段。石造りの手すりは光沢がある。撮影で人気の場所の一つだ拡大庁舎4階付近の階段。石造りの手すりは光沢がある。撮影で人気の場所の一つだ

写真:庁舎の正面。宮崎県庁と同じ設計者で、外観はよく似ている=いずれも岩本写す拡大庁舎の正面。宮崎県庁と同じ設計者で、外観はよく似ている=いずれも岩本写す

写真:  拡大  

■県政の舞台、44番組に重厚感

 テレビドラマの名作「ふぞろいの林檎(りんご)たち」「高校教師」を演出した鴨下信一さん(74)が教えてくれた。「クラシックなものを撮るときに、よく使われているロケ地があるよ」。それが、水戸市中心部にある茨城県三の丸庁舎だ。

 水戸駅から歩いて約10分。茶色っぽいれんが張りの外観に重厚感が漂う。車寄せのある玄関から中に入ると、真正面に大きな石造りの階段が現れ、これもまた印象的だ。

 1930年に建てられた当時は県庁の本庁舎だった。99年に本庁舎が移転して三の丸庁舎と名を変えた。今は福祉相談センターやカルチャーセンターなどとして活用されている。

 鴨下さんがこの建物をロケに使ったのは、昨年12月にTBS系で放送された「あの戦争は何だったのか 日米開戦と東条英機」。41年12月の日米開戦までの過程をドキュメンタリーとドラマで描いた。

 三の丸庁舎の階段は、ドラマ部分で陸軍施設になった。新聞記者の吉原政一(高橋克典)が憲兵に見とがめられて殴られ、階段を転げ落ちる。下でさらに殴ろうとする憲兵を、おりてきた陸軍軍人の石井秋穂(阿部寛)が止める。戦前のピリピリした様子を象徴していた。

 「蛍光灯を隠せば十分撮影できた。それに人が日常的に使っている場所じゃないと、雰囲気が出せないのかもしれない」と鴨下さん。時代を感じさせる古さがありながら「空き家」ではない適度な使用感を持ち合わせたロケ地はそう多くない。

 テレビ朝日のドラマ「交渉人」では「警視庁第2庁舎」になった。フジテレビの「魔女裁判」では「裁判所」、TBSの「官僚たちの夏」では「特許庁」――。

 茨城県内へロケを誘致するため02年10月に設立された「いばらきフィルムコミッション(FC)」によると、FCを通じて三の丸庁舎で撮影されたテレビドラマは主なものだけで44番組。映画も19本を数える。テレビ関係者の口コミで、着実に利用が増えているという。

 人気の理由は建物自体の魅力だけではない。沼尻憲・県FC推進室長はこう補足する。

 「4階はすべて空き部屋になっているので、平日でも撮影に使える。駅から近く交通の便も良い。周辺に高い建物がなく、外観の撮影もしやすい」

 テレビ朝日のドラマ「富豪刑事」では、三の丸庁舎の隣の広場に本物のヘリコプターをおろし、深田恭子演じるリッチな新人刑事の通勤風景を撮影した。周りに障害物のない場所だからこそできたシーンだった。(岩本哲生)

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