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「眠れる森」 国営武蔵丘陵森林公園(埼玉県滑川町)

2010年2月17日11時30分

写真:実那子と直季が出会った森は公園の一角にあった=埼玉県滑川町拡大実那子と直季が出会った森は公園の一角にあった=埼玉県滑川町

写真:植物園の外観に使われた多摩市立グリーンライブセンター=いずれも岩本写す拡大植物園の外観に使われた多摩市立グリーンライブセンター=いずれも岩本写す

図:  拡大  

■記憶の断片 つなぐ森

 高くそびえた木々が香る。積もった落ち葉を踏みしめたときの感触が心地よい。

 東武東上線の森林公園駅からバスで10分弱。埼玉県滑川町に国営武蔵丘陵森林公園はある。広い園内で「ディスクゴルフコース」となっている一角に、めざす「森」はあった。

 1998年にフジテレビ系で放送された連続ドラマ「眠れる森」で、主人公・実那子(中山美穂)の人生を大きく変えた場所だ。結婚を間近に控えた実那子は子どものころ受け取った手紙を読み返し、「15年目の今日、僕たちの森で、眠れる森で会いましょう」という文面に誘われる。その森にいたのはハンモックに寝ていた直季(木村拓哉)だった。

 当時、ロケ場所選びにかかわった制作現場の責任者、金山雅右(まさすけ)さんと現地を訪ねた。「ハンモックがどこにかかっていたか、と聞かれるとわからないけどね。でも、ここら辺で撮影したよ」。記憶は残っていた。

 ドラマは実那子自身が、過去の記憶に悩むミステリーだ。両親を交通事故で亡くしたと思っていたが、実は何者かに殺害されていた。現場にいた実那子の記憶は故意に消されていた。いずれ記憶が戻ることを知っている直季は、例の森で「残酷なことが待ち受けてんだよ」と実那子に告げるのだ。

 殺人犯として服役し、仮出所した国府(陣内孝則)ら怪しげな登場人物たちが謎を深める。「野沢尚さんのホン(台本)が良かった」と振り返るのは演出したフジテレビの中江功さん。

 キラキラしたイメージのトレンディードラマも下火になったころで、演出は意識的に明るくはしなかった。

 「緑がきれいに映る。見ようによっては美しくも、怪しくも見える」。そんな森を選ぶために中江さんらスタッフは気をつかった。林と森の違いは何だと考えて、「眠れる森」は、森林公園だけでなく山梨県や静岡県など各地の森で撮影し、つなぎ合わせた。

 つなぎ合わせの手法は実那子の勤める植物園でも使われた。事務所はセットで、園内の様子は栃木県の植物園で撮影したが、園全体の外観は東京都多摩市にある緑化施設、市立グリーンライブセンターの温室を使った。出演者はちょっと歩くだけなのに、撮影はまったく違う場所で行われていることは珍しくなかった。

 複数の映像が一つの物語につながっていく、というのは、まさしく実那子の記憶がよみがえる過程と同じだ。それを違和感なく見せられるというのは、結構驚くべきことなのかもしれない。(岩本哲生)

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