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年末に『温泉教授の湯治力』(祥伝社新書)という本を出しました。サブタイトルは「日本人が育んできた脅威の健康法」。
これまで150冊近くの本を出しましたが、湯治に関する著書はこれが最初です。来年以降もしばらくは、『江戸の湯治学』『男の湯治場』といった湯治本を出すつもりでいます。
今後、日本のビジネスパースンの中には企業に使い捨てられる人々がかなり出ると懸念しています。
「キミは今年、まだ『湯治休暇』を取っていないね。このままだとリストラの対象になってしまうよ」
会社の資本といえる従業員の健康増進のために湯治を活用し、その上で業績アップを目指す企業が現れたらと、本気で私は考えています。
日本人は集団行動的で個性がない、何ごとも規律を最優先し自己主張がない、などとよく言われます。本当にそうでしょうか。
現代の日本の病院は欧米のスタイルを踏襲したものです。最新の医療技術や医薬品がそろい、治療に最適と思われる環境が整っていますが、そのシステムは完全に管理型です。一日三度の食事の時間はもちろん、点呼や検温、問診、投薬と厳密なスケジュールが組まれ、時にはトイレに行く時間さえままならない。しかも9時には消灯。
これに対して日本人の療養法だった湯治は、まったくの対極にあります。何しろ温泉に浸かる以外、することがないのですから。もちろん、実際に病気の療養をしたり、また疲労回復を目的としても、その効果を最大限に得るには規則正しく過ごすことが必要です。ただ、それはすべて自分のペースで決められるのです。
「自己管理」という言葉がはやっています。欧米型の企業経営で語られる言葉ですが、湯治こそまさに自己管理を前提としていたのです。
日本人は没個性どころか、実はそれぞれが自分なりに個性的に過ごすために自己管理をしていた。自分の療養には自分で責任をもつというように大いに許容範囲があった。それが湯治の本質ですし、その意味では湯治場は極めて日本的な病院である、というのがかねてからの持論です。
それぞれのスタイルで、自分を律することが出来れば、その湯治は大成功といえるでしょう。
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