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2011年11月21日
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楽園をさがして

ワイナリーで「大人のホームステイ」体験 ナパバレー編〈2〉

文と写真:江藤 詩文

写真:ジェリコ・キャニオン・ヴィンヤードのホストファミリー。息子のニックはカリフォルニア大学デイビス校のワイン醸造学科を卒業したばかり拡大ジェリコ・キャニオン・ヴィンヤードのホストファミリー。息子のニックはカリフォルニア大学デイビス校のワイン醸造学科を卒業したばかり

写真:乾杯の白ワインに合わせる前菜として、お父さんのデイルがあっという間に作ったトマトとモッツァレラチーズ、バジルのカプレーゼ拡大乾杯の白ワインに合わせる前菜として、お父さんのデイルがあっという間に作ったトマトとモッツァレラチーズ、バジルのカプレーゼ

写真:広々として使いやすいキッチンには、いつでも新鮮な野菜やフルーツがどっさり拡大広々として使いやすいキッチンには、いつでも新鮮な野菜やフルーツがどっさり

写真:家族で醸したワインと家族で育てた野菜のディナー。食べる直前にパルミジャーノ・レッジャーノを削ります拡大家族で醸したワインと家族で育てた野菜のディナー。食べる直前にパルミジャーノ・レッジャーノを削ります

写真:自慢のワインたち。「好きなものを好きなだけ」と心ゆくまで飲ませていただきました拡大自慢のワインたち。「好きなものを好きなだけ」と心ゆくまで飲ませていただきました

写真:目覚めると部屋の前に広がる朝霧に包まれたブドウ畑。この霧と寒暖の差がある気候が上質なブドウを育むそう拡大目覚めると部屋の前に広がる朝霧に包まれたブドウ畑。この霧と寒暖の差がある気候が上質なブドウを育むそう

写真:まるでシャトーみたいなホストファミリーの家。広い庭にプールがあるのがスタンダードなんだそうで、うらやましいったら…拡大まるでシャトーみたいなホストファミリーの家。広い庭にプールがあるのがスタンダードなんだそうで、うらやましいったら…

 突然ですが、いきなり見ず知らずのガイジンの家に泊まることになったら、どうしますか? 会ったこともない外国人が自宅に来て「泊めて」とか言い出したら、日本人的にはとまどいますよね。それなのに、私は「外国で」「知らない人の家」に押しかけることになったのです。

 ナパバレーに思いつきで行こうと決めたのは10月上旬。ブドウの葉は紅く色づき始め、1年がかりで丹精を込めて育てた、たわわな果実はまさに収穫の真っ最中。各ワイナリーは今年のワインの仕込みに大わらわ。ということは、ワイナリー巡りをする旅行者にとっては1年で今だけしか行われない作業を見ることができる貴重なチャンス。そのうえ気候もよい…。シーズン真っ盛りで、普段は静かな田舎町のナパバレーがもっとも賑わう季節だったのです。

 当然ながら、めぼしいホテルはほぼ満室。しようがない、サンフランシスコから片道2時間かけて日帰りするか。それともワイントレインをあきらめようか。そこへ、いいニュースをもたらしてくれたのが、前回も登場したパワフルな女の子・ユリちゃんでした。

 「知り合いのワイナリーがゲストハウスを持っています。そこはホテル並みに設備がしっかりしているので、そちらに宿泊しませんか」。

 やや人見知りの傾向がある私は、「人のウチかぁ。めんどくさそう」と気が進まなかったものの、「家族が住む家からは離れている」「完全個室でプライバシーを確保できる」と聞き、重い腰を上げることになったのです。

ナパの「おうちごはん」は、ヘルシーな自然派

 こうして滞在することになった「ジェリコ・キャニオン・ヴィンヤード」は、ナパの町の中心から車で1時間ほど北上した、カリストガという町にありました。

 ワイナリーの家族といえばワインの専門家。そんな彼らは、どんなご飯を食べているのか。私が真っ先に気になったのは、それでした。アメリカだから、やっぱりステーキとかハンバーガーなのか。それとも、ワインに合わせてフランス料理だったりして。そう思って、ユリちゃんに「ご飯が見たい」と伝えてもらったところ、「ごく普通の食事だけど一緒に食べましょう」というお誘い。ありがたいような、けど英語ご飯はちょっとめんどうなような。でもワインはきっと飲み放題だよね、うっひっひ。結局好奇心が勝り、お邪魔することにしました。

 「夜も遅いし、軽めに」とテーブルに並んだのは、自家農園で収穫したばかりの2種類のトマトとバジルのサラダ、同じく自家農園のズッキーニのグリル、鶏肉のソーセージとトマトのソースのパスタというヘルシーなもの。ソーセージ以外はすべて自分たちで、無農薬で育てた野菜です。

 手をかけすぎずに調理された野菜は、力強さと旨味に満ちあふれていて、ほっこりと和めるのは家庭料理ならでは。とくに身がみっちりと詰まっていてきめ細かく、噛むとほんのり甘いジュースが口いっぱいに広がるズッキーニといったら…。さっき畑でもいだものを食べる。その生命力に満ちた味わいに、思わずため息がこぼれます。

 ワインは赤でも白でも、好きなものを好きなだけ自分で注ぐスタイルでした。

 「アメリカでは誰かのグラスが空になっても勝手に注ぐことはあまりないし、仮に薦められて断っても失礼にならないから、欲しいか欲しくないか、はっきり言ってね」。その教えの大切さを、心から実感することになるのですが、そのお話はまた後日。

大人のホームステイは発見がいっぱい

 ワイナリーで私を迎えてくれたファミリーは、お父さんのデイル、お母さんのマーラ、23歳のイケメン息子ニックの3人です。先に述べた料理もすばらしかったのですが、私が目を奪われたのは、キッチン仕事はすべて男性陣がすること。その間、お母さんは何をしているかといえば、赤ワインのグラスを片手に暖炉の前でくつろいだり、私とおしゃべりしたり。のんびり待っています。

 食後の皿洗いに至っては、ニックが、遊びに来た友だちとふたりで引き受けることに。「日本人の23歳の男の子が、いきなり家に来た異邦人と夕食の席について談笑したうえ、友だちと皿洗いをするだろうか…」。つい身の回りの男性と引き比べてしまいますが、マーラが言うには「夫に料理をさせるのも、息子に家事を手伝わせるのも、最初の教育が肝心」とのこと。このあたり、日本女子としては、カリフォルニア流男性操縦術に学ぶところが多そうです。

 そして「寒いから」と、急きょ、ゲストハウスではなく、子ども部屋で寝起きすることに。突然のホームステイです。あまりのなりゆきにびっくり。わずか10分後には、ピカピカに磨き上げられたバスルームに洗い立てのタオル大小がかけられ、部屋はエアコンで程良く暖められ、まるでホテルのように快適な子ども部屋に案内されました。

 家族はみんな早寝早起き。昼間はしっかり身体を使って仕事をして、農園の手入れもして、日が暮れたら身体をやすめ、自分たちで育てたものを家族揃って食べる。シンプルで単純で、なんて贅沢なのでしょう。

 もちろん日本には日本の流儀があるし、カリフォルニアのスタイルを真似することなんてできません。けれどもほんの数日とはいえ、ホテルではなく家庭に滞在することによって、リアルな生活文化を垣間見て、いつもの旅とはまったく違う気づきがありました。

 学生ならともかく、大人になると、旅先でホームステイなんてめったにしませんよね。今回は運が良かったとしか言いようがありません。だけどまた機会に恵まれたら、今度は「めんどくさい」とか「プライバシーが」なんて思わず、積極的に挑戦してみたい。みなさんも、もしそんなチャンスが巡ってきたら、ぜひトライしてみてください。大人のホームステイ、おすすめです。

「ジェリコ・キャニオン・ヴィンヤード」のデータ

専門家の間で最近注目を集めているナパバレーのソーヴィニヨン・ブランからつくる白ワインと、カベルネ・ソーヴィニヨンからつくる3種類の赤ワインが評価されているワイナリー。白ワインはアメリカの有名なワイン専門誌「ワイン・スペクテーター」で92点という高得点を獲得しました。他にメルローやシャルドネなど、全部で6種類のワインを醸造しています。(ワイナリーの公式サイト

プロフィール

江藤 詩文(えとう しふみ)
旅とお酒と食文化を愛するフリーライター。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。慌ただしい日常の中、心のどこかでふと思いをはせるだけで気持ちが和む「楽園」を探す「楽園ハンター」として、世界のどこかから幸せな気分になれるあれこれをお届けします。

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