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ぽれぽれサファリ

世界で一つのカップ麺 〜新横浜ラーメン博物館(後編)

08月16日

文・春口 裕子 »プロフィール»バックナンバー

 世界で一つだけのカップヌードルを作るべく、私たちはいざ、マイカップヌードルファクトリーへ向かった。

写真カップは1個300円也。かなりの時間を(構想に)費やしたにもかかわらず、それに比例しない残念な仕上がり。絵心のなさに軽くへこんだひととき。
写真トッピングコーナーで、「えび、たまご、ネギ、豚肉、グリーンアスパラ、チェダーチーズ、コーン、ガーリックチップ、ひよこちゃんなると、キムチ、ジャーマンポテト、ジャーマンソーセージ」の中から4種類を選びます。
写真包装コーナー。「僕、これから包まれてきます〜」。ハイハイ、行ってらっしゃい。
写真エアパッケージに空気を入れたら完成です。

 まず無地のカップを購入し、お絵描きスペースに置いてある色とりどりのペンを使って、自由にデザインをしていく。自由に……好きなものを……何でもいいから……。なんだどうした、さっぱりペンが進まんぞ。

 何を描いていいか、わからないのだ。ここ数年――いや、ひょっとしたら学校を出て以来、まともに絵を描いていないからだろうか。あの頃は、先生の似顔絵だとか、流行りのキャラクターだとか、下手でもそれなりにホイホイ描いていたのに。

 ヤバい、頭がカチコチだ。またしても夕暮れ色だっ。

 おたおたする私の横で、タロー&トミーは「何でもいいじゃん」と言いながら、さらさらさら〜っとお絵描きを楽しんでいた。ちぇ。(ちょっとうらやましい)。周りの人たちも、夏らしく朝顔やひまわりを描いたり、カップをビールジョッキに見立てたりと、上手だった。(かなりうらやましい)。

トッピングに選ばれたのは「不動の4強」

 カップに麺を入れ、スープの味を決めたら、次はトッピングを選んでいく。

 12種類の中から4種類を選ぶわけだから、組み合わせの数はというと……えー数学が苦手だったため、計算方法(順列組み合わせ?)がわかりません。さっさとあきらめて資料を見てみると、パターンはなんと5000以上。うう、こりゃ悩む。

 純粋に好きなものを4種投入するか、はたまた、カルテットのハーモニーを大切にするか――。うんうん唸っていたら、後ろが渋滞しはじめた。焦りも加わって、けっきょく最後は、不動の4強(えび、たまご、ねぎ、豚肉)に落ち着いた。


 帰宅後、さっそく試食してみた。自分で作ったと思うと、いとおしいものだなあ。なにやら美味しく感じるし。ウキウキと食べながら、ふと思う。カップ麺は、こちらの心意気をダイレクトに映す食物であるかもしれない、と。

 たとえば「夜中に1人でカップ麺を食べる」とする。その理由が「お腹がすいたのに食べる物が何もないので仕方なく……」という具合にネガティブだったら、どうだろう。連想されるのは、背中を丸めてぼそぼそと食べる光景。さらには、「やもめ」「裸電球」「給料前」といった、悲哀と寂寥感あふれるキーワードまでもが浮かんでくる。カップ麺とて、せっかくの出番なのに、しょんぼりだ。

 一方、切望して食べるカップ麺はどうか。「お腹すいた……食べちゃおうかな……でも太るし……」などなどの葛藤を経て、「やっぱり食べよう!」に至ったとする。さすればその味、まさに小悪魔的。一抹の罪悪感がスパイスになって、おいしさと幸福感は倍増するにちがいない(たとえそのあと後悔の大波がやってこようとも)。カップ麺も、充実した最期を遂げることができるのである。

スープの底に残っていたのは・・

 かくしてマイカップヌードルは完食した。あーおいしかった。食べ終わったあとは台所へ。

 カップラーメンて、シンクにしっくりくるよね。そんなふうに思いながら、スープの残りをざざっと流しに捨てた、そのときだった。エビちゃんが1匹、ぽろりんと転げ落ちたではないか。

 まだいたのかエビちゃん! 日清食品の人たちが世界中を探し歩いたというエビちゃん! エビというエビの中から選抜されたエビちゃん……!!(プロジェクトXより)

“むざむざエビを無駄死にさせたときの悲しみ”と、“最後の最後にお箸で(たまたま)エビを釣りあげたときの喜び”の絶対値。その大きさはたぶん一緒。そんなふうに思う今日この頃である。

今週の春口さん

 この日は、週末に会う約束をしていた友人らの分も(3つ)こさえました。喜んでくれましたよ、「世界に一つ」ということで。絵を見たときの反応は微妙でしたけど。
 ちなみにこの「マイカップヌードルファクトリー」、新横浜ラーメン博物館では8月末までの限定開催。大阪の「インスタントラーメン発明記念館」では常設だそうです。

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