先日、家族旅行にいってきた。といっても妹夫婦は子供がまだ小さいので、今回は父・母・私の3人である。話が持ち上がったのは半年ぐらい前で、打ち合わせはこんな具合に進んだ。

こちらが「極附」。中身だけでなく、箱や風呂敷にもこだわりが。箸は、宮内庁御用達「箸勝本店」の国産吉野杉の特製箸。たしかに楊枝まで立派でした。

青函トンネル内の海底駅を通過中。ホームに降りて見学することもできるそうですが、私が乗った電車は残念ながら停車せず。トンネルの全長は53.9キロ。一番深いところ(海面から140メートル。そこからさらに100メートル)は、青と緑のランプで知らせてくれます。

現地に着いたら、真っ先に食べたいドンブリ様。ウニは本来苦手なんですが、北海道のウニだけは別なのです。それにしても今日は食べることばっかりだ……。

函館到着。初回である今回、本当は函館のことを書こうと思っていたのですが、駅弁話につい力が入ってしまいました。というわけで次回こそ函館編です。
「おとーさんは、青森の三内丸山遺跡と、日本海側の漁港が見たいぞ」
「おかーさんは、五能線に乗って、白神山地に行きたいわ」
「私は電車に乗って、きれいな景色を見て、おいしいもの食べたい(要するにどこでもいい)」
というわけで、行き先はあっさり東北(青森と秋田)に決定。その2県にくわえ、函館を周れるトクトク切符があるらしいと聞き、せっかくなら函館にも足を伸ばそうということになった。
高級弁当と大量のお茶を購入
出発当日。八戸行きの東北新幹線に乗るべく、私たちは東京駅のホームに立った。
今日はなにせタイトルのとおり、一気に北海道(函館)まで行こうっていうんだから、てーへんだ。何よりもまず、旅のお供を入手せねば。
駅弁には、すでに目星をつけている。新聞に載っていた高級弁当「極附(きわめつき)」3800円也だ。売店を探してみると……あったあった。どれ。うぬ。値段のわりにディスプレイがなんとなく寂しいけど、まあいいか。ものはためしだ。このほか、幕の内弁当とイカめし(八戸を先取り)も買って、車内に乗りこむ。
予想はしていたが、父は大量のお茶を買いこんでいた。「いつ何があるかわからないから、旅行中は常に3、4本のペットボトルを携帯すべし。ジュースはいかん、茶にかぎる」という信念の持ち主なのである。おかげで荷物は早くもズッシリ。「減ったらすぐ補充、減らなくても時どき補充」のルールもあるので、大量の未開封のお茶たちが、そのまま家に持ち帰られることもしばしばである。
なぜか駅弁がしっくりこない
発車後、さっそく例の高級弁当を開けてみた。“日本各地の自然で高品質な食材等を使用”とあって、たしかに、小料理屋にでも出てきそうな、上品なお味のおかずぞろいである。しかし……なんだろうこの腑に落ちないような、しっくりこない感じは。
そう。私が駅弁に求めているのは、こういうものではないのだ。
日本各地の名産でなくていい。通りかかるその土地のものを、1点でもいいから「うぉりゃ!」と使ってほしい。たとえば八戸のイカメシ!とか、仙台の牛タン弁当!とか。食べても食べてもまだイカメシ(もしくは牛タン)という具合に、少し飽きるぐらいのボリュームと勢いでもって、私に迫ってきてほしい。
父は隣で「ほら見ろ、俺の幕の内のほうが100倍うまい」と勝ち誇っている。何だよ100倍って。「こんなのがあるらしいぞ」って情報提供したの、自分のくせに。ブツブツ。
たぶん、値段がネックなのだ。「3800円なのに」という発想がいけないのだ。
楽しくおいしく食べるために私と母は、一の重と二の重の横に、お品書きを三の重のように並べ、そこに書かれているこだわりと照らし合わせながら「ほほう」「ふむふむ」と食べることにした。
3時間後、八戸に到着し、そこからさらに函館へ向かった。
青函トンネルは初めてだったのだが、ものすごく長くて、通り抜けるのに約25分かかった。よくこんな巨大なものを作れるなあ。青森側と北海道側から穴を掘り進めていって、最後につなげるわけでしょう? 私なんて、小学校の図工で作った凧さえ、角材(枠組み)や新聞(しっぽ)を切っても切っても、バランスがとれなくて泣きそうだったのに。……一緒にするなって?
というわけで、午後3時ごろ、ようやく函館に到着した。電車を降りた瞬間、あることにびっくりしてしまった。 (つづく)