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ぽれぽれサファリ

新世界の公開レッスン アフィニス音楽祭(前編)

2007年09月26日

 物覚えの悪さには自信がある。

 たとえばこのまえ、妹とコタローとN氏と、COCO’Sで昼ごはんを食べていたときのこと(COCO’Sにはアレルギー対応のお子様メニューがあって、コタローも安心なのだ)

 N氏がさらりと、某ファミレスに入ったときの話をした。「天丼を頼んだら、食べかけの海老天がのっていた」という。ひー。「混んでて忙しそうだった。おそらく他の客が残した海老天をそのまま投入したのであろう」という。ひー。

 そんな強烈な話を、よくもそうさらりと話せるものだ。私がムンクの叫びみたいな顔でそう言うと、N氏はなにやら心配げに表情をくもらせた。なんだ、どうした。

「この話……ついこの前、したと思うけど……」

 またまたぁ。

 すると妹が言った。

「私もそのとき一緒にいた。お姉ちゃん、今みたいに、死ぬほどビックリしてたよ……」

 毎日が驚き、エブリデー新鮮。そんな私の人生である。

アフィニス夏の音楽祭

 さてさて。私たちが訪れたとき、長野県飯田市ではちょうど“アフィニス夏の音楽祭”が開催されていた。これは、ドイツやオーストリアなど世界で活躍している音楽家がやってきて、国内のプロオーケストラ若手団員と一緒に、演奏したりレッスンを行ったりするものだ。今年でなんと19回目らしい。

 N氏はクラシック好きなので、ぜひ聴いていこう、ということになった。開催期間中は、市内のあちこちの会場で、いろいろな催しをやっているという。本当ならメインの演奏会に行きたかったが、あいにく帰る日と重なってしまったので、“公開レッスン”を見ることにした。

いざ公開レッスンの会場へ

 足を運んでみたのは“指揮マスタークラス”の公開レッスンで、曲目はドヴォルザークの『交響曲第9番 〜新世界より』。クラシックには本当に疎い私だけど、これなら分かる。私は隣のN氏に耳打ちした。

「小学校のとき、下校時刻になるとこの曲が流れてた」

「下校の音楽にはたしかにぴったりだね」とN氏は言った。

「ドヴォルザークはチェコの人だけど、この曲を作ったときはアメリカに渡っていたんだ。だから望郷の念というか、そういうものがこめられているんだよ」

 ほほう。だから、どこか切ないような、懐かしいような感じがするのだな。

まさかの“つづく”

 指揮のレッスンって、一体どんなもの!? 『のだめカンタービレ』を読んでいれば分かるのだろうが、残念ながら私は未読。

 まったくイメージがわかないまま、いよいよ公開レッスンが始まった。

……というわけで、ここからが本題なのだけれど、長くなってしまったので、来週に続きます。ごめんなさい。だってだって、講師の方がすごくおもしろい方で、書きたいことがたくさんあるんですもの。お許しを。そして次週お楽しみに。

今週の春口さん

 先日なんとコタローが捻挫。子供でも捻挫するんですねえ。お医者さんいわく、「シップは寝ている間だけ貼るように」。起きているときに貼ると、おおげさに足を引きずるので、体によろしくないんだとか。へえ。妹が試しにちょっと貼ってみたらしい(コラコラ)のですが、「骨折でもなさいましたか」というぐらいの勢いで引きずってたみたいです。へええ。

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プロフィール

春口裕子
1970年横浜生まれ。慶応義塾大学卒業後、損害保険会社に入社。広報の仕事でエッセイを書きながら、「やはり物書きの道へ」と心を決める。旅行と甘いものが好き。01年よりOLを辞め、執筆業に専念。同年、ホラーサスペンス大賞で『 火群の館 』(新潮社刊)が特別賞受賞。著作に『 女優 』(幻冬舎)。

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