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文化財指定の転車台、最古級の駅舎…JR武豊線に再び光

2009年3月22日

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写真拡大国内で唯一と言われる直角二線式転車台=愛知県武豊町道仙田写真拡大国内最古の現役駅舎と言われる亀崎駅=愛知県半田市亀崎常盤町写真拡大1910年に建てられた半田駅の跨線橋=愛知県半田市御幸町地図

 今から123年前、愛知県で最初の鉄道が名古屋と知多半島の間に開通した。現在のJR武豊線だ。沿線に日本最古級の鉄道施設が残されており、近年再評価されつつある。もとは東海道線の建設物資を運ぶ貨物線としてつくられ、戦前は貨物輸送が多く、今も通勤通学のローカル線として生き残ったことが、保存に幸いした。

 JR東海道線大府駅で武豊線に乗り換えると、ワンマン運転の列車内に高校生の姿が目立つ。車窓の外には田畑が広がっているが、駅周辺には真新しい一戸建てやマンションも見え、名古屋のベッドタウンになりつつあるのがわかる。

 武豊線で蒸気機関車を運転した経験もある国鉄OB、河合由平さん(79)=愛知県半田市=は今年1月、約15年かけて集めた資料をまとめた記録・写真集「武豊線物語」(交通新聞社)を出版した。「現役時代、武豊線はただのローカル線として軽んじられていた。実は東海道線の生みの親であり、地域の産業発展に大きく貢献したことを広く知ってもらいたい」と力説する。

 河合さんが貴重な遺産にまず挙げるのが、武豊港(現・衣浦港)に残る直径約7メートルの転車台だ。かつてこの港から石油が輸入され、20トン積みのタンク車に積まれて中部各地に向かった。転車台は、タンク車がその場で方向転換できるように1927(昭和2)年につくられた。二つの線路が直角に交差する「直角二線式」が残るのは全国でもここだけと言われ、今年1月に国の登録有形文化財となった。

 一方、「国内最古の現役駅舎」と言われているのが、半田市にある亀崎駅だ。周囲は住宅街で、東海道線も通る大府を除くと、武豊線で最も乗客が多い駅でもある。やや平べったい形をした木造平屋建てで、駅舎にかかる看板も木製だ。武豊線が開通した1886(明治19)年の1月に建設されたと駅舎に表示されており、鉄道関係の本でも紹介されている。1895(明治28)年に火災に見舞われて再建されたとの記録もあるが、焼けたのは官舎だけという説もあり、はっきりしていない。しかし、いずれにしても国内最古級の現役駅舎と言えそうだ。

 半田駅にも歴史的建造物が残る。改札とホームをつなぐ跨線橋(こせんきょう)は1910(明治43)年に建てられた。木造の壁のすき間が年代を感じさせる。愛知県教育委員会によると、JR山陰線大田市駅(島根県大田市)の跨線橋が1890(明治23)年につくられているが、別の場所から移設されたものだ。半田駅は、建築時と同じ場所に残る最古の跨線橋とみられ、県教委も「鉄道文化財としての価値は高い」としている。跨線橋脇には、1911(明治44)年建築とされるれんが造りの危険品庫も残っている。

 このほかにも、沿線には明治時代につくられた鉄橋やれんが造りの地下排水路が多く残されているが、鉄道施設の宿命といえる改良工事により、次第に姿を消しつつある。半田駅も高架駅として改築される構想があり、いずれ跨線橋も見られなくなりそうだ。(山吉健太郎)

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