握手する(右から)JR九州の唐池社長、パトニのクマールCEO、JR九州システムソリューションズの西村隆夫社長=福岡市博多区のJR九州本社
JR九州は8日に福岡市で記者会見を開き、インドのIT(情報技術)企業パトニ・コンピューター・システムズと合弁会社をつくって企業の経営管理や工場の生産システムなどの開発事業に乗り出すと発表した。
新会社のJR九州パトニ・システムズは7月に設立。資本金は1億円で、本社は福岡市博多区内に置く。JRの子会社で、JRのICカード乗車券「SUGOCA(スゴカ)」など鉄道関連システムを手がけるJR九州システムソリューションズ(福岡市、JRQSS)が51%、パトニ側が49%をそれぞれ出資し、社長はJRQSSが派遣する。
少子高齢化や高速道路料金値下げなどで鉄道事業からの収入が伸び悩む中、JRは小売り関連など事業の多角化を加速している。
これまでJRQSSの顧客は、ほぼJR九州に限られていた。会見でJRの唐池恒二社長は「グループ企業が独自に新規事業に乗り出してJR全体の成長につなげたい。(JRQSSは)グループ外にも高いレベルのITサービスを提供できる」と強調。「いずれはIT事業の年間売上高を数十億円に拡大したい」と期待を示した。
パトニは1978年設立で、95年に日本に進出した。2009年度の売上高は約600億円だが、日本での売り上げは5%にとどまる。
ジェヤ・クマール最高経営責任者(CEO)は会見で「今回の提携で、生産管理システムなどの受注が拡大できる」と期待した。九州に多くの工場が集まっていることも、JR九州と提携を決めた理由という。(大畑滋生)