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未完の鉄道ジオラマ、線路とともに続く語らい 佐賀

2010年7月1日

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写真続き間の向こうまで広がる巨大ジオラマは、子どもが下からもぐり込むほど=佐賀市白山1丁目の「モデラーズ松永」写真山も街並みもすべて手作りの巨大ジオラマが、続き間の向こうまで広がる=佐賀市白山1丁目の「モデラーズ松永」写真2階の和室に造られた巨大ジオラマ。常連客たちがお気に入りの列車を思い思いに走らせる=佐賀市白山1丁目の「モデラーズ松永」

 佐賀市の街角の小さな模型店に毎週末、お気に入りの鉄道模型を手にした常連客たちが集まる。目当ては、店主が10年かけて組み立てている巨大なジオラマ、そして、語らいの場。鉄道ファンの熱気があふれる店内は、つかの間、かつてのにぎわいを取り戻す。

 佐賀市白山1丁目にある模型店「モデラーズ松永」の日曜の昼下がり。男たちは陳列棚の間にある「秘密の入り口」をくぐり、急な階段をのぼって2階へ急ぐ。

 鉄道雑誌で「西日本最大級」と紹介される鉄道ジオラマは、2階奥にある。実物の150分の1、軌道幅9ミリの「Nゲージ」と呼ばれる模型の線路が、6畳の二間に収まりきらず、廊下にまで広がる。線路の総延長は300メートルになるという。

 最大9編成が同時に動き、5メートルの直線を16両編成の新幹線「のぞみ」が疾走する。山をトンネルが貫き、深い谷にアーチ橋がかかる。駅のアナウンスや発車ベル、汽笛の効果音が、本物らしさを醸し出す。

 佐賀県鹿島市の小笠原正了(よしのり)さん(32)は、自宅に50セットはあるという模型列車のうち7セットを携えて訪れた。3人の子どもと一緒にほぼ毎週来店し、仲間との交流を楽しむ。「水辺の青が映える6、7番線がお気に入り。写真を撮って楽しみます」

 巨大ジオラマの作者は、この店の店主、松永信威(のぶたけ)さん(73)。「これだけ大きいものは一般家庭では作れない。お客さんに、思う存分楽しんで欲しくて」と、作り始めた動機を話す。

 亡き父が創業したこの店で生まれ育った。当初、鉄道模型は特に好きなわけではなかった。その魅力に気づいたのは、40年ほど前に店を継ぎ、鉄道ファンと話すようになってからという。

 1970年代から90年代にかけて、模型業界はスーパーカーやガンダム、ミニ四駆のブームにわいた。「子どもたちが朝5時から店の前に並び、どれだけ仕入れても足りなかった」と振り返る。だが、その人気は携帯ゲーム機が取って代わる。店のにぎわいは、いつの間にか消えていった。

 「それでも、鉄道ファンは」と松永さんが言う。「ブームが来る前も、ブームが去っても、変わらず鉄道を愛していますから」

  店で模型車両を買った人は、ジオラマの線路を何度でも無料で走らせることができる。大阪や鹿児島から訪れる人もいる。

 「お客さんが喜ぶ顔を見ると、きりがない。まだまだ大きくなりますよ」。150分の1の小宇宙。ジオラマの線路は、どこまでも続く。(谷川季実子)

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