羽田空港の発着枠が10月に拡大するのを前に、京浜急行電鉄は、今月16日からの新ダイヤを発表した。品川―羽田空港間をノンストップ運転する新しい「エアポート快特」が目玉で、京急蒲田駅を通過することで約1分短縮する。ところが、この措置に、東京都大田区や地元住民が反発。同駅一帯で実施中の改良工事に区が補助金を出しており、「地元軽視だ」と停車を求めている。
京急によると、品川―羽田空港は現在、最速15分。新ダイヤは、羽田空港の手前に新設される「国際ターミナル駅(仮称)」への停車を見越して組んでおり、同区間は1分長くなって最速16分になる。京急蒲田駅に停車すると、さらに約1分遅くなるという。
都心から羽田空港へのアクセスをめぐって京急は、浜松町(東京)―羽田空港第1ビルを最速16分で結ぶ東京モノレールと激しく競っている。新ダイヤについて京急は「都心や成田空港方面の利便性向上が狙い」と説明する。
新しい「エアポート快特」と「エアポート急行」をそれぞれ20分間隔で運行。品川駅から「エアポート」の付いた列車に乗れば、羽田空港に乗り換えなしで行ける。一方、京急蒲田駅は、羽田行きが1時間当たり3本減り、昼間は直行列車がなくなる。
大田区などが反発しているのは、今回の新ダイヤが、京急蒲田駅付近で行われている連続立体交差事業による線路の高架化で実現できたため。都の事業だが、総工費約1650億円のうち、区が約200億円を負担する。
4月21日になって京急から報告を受けた区は同月末、再考を要求。新ダイヤ発表を受け、区と区議会、住民代表は7日、「まちづくりの重要な核が通過駅となることは容認できない」とする連名の抗議声明を出した。京急は幹部が区への説明を続けており、「何とか地元の理解を得たい」としている。(小林誠一)