川崎重工業が開発した電池で走る路面電車「スイモ」。国内向け車両は2007〜08年に札幌市内で実証実験した=同社提供
川崎重工業は、電池で走る路面電車の米国向け車両の開発に乗り出す。2011年度中に試作車を生産。走行時に二酸化炭素を排出せず、環境に優しい交通手段として路面電車が見直されている米国に売り込みを図る。
同社は07年、自社開発した大容量のニッケル水素電池を床下に搭載した路面電車「スイモ」を完成させ、札幌市内で実証実験した。減速時のエネルギーを電気に変えて電池に蓄え、通常の架線から取り入れた電力とともにモーターを動かす仕組みだ。
この電車は電池だけでも走ることができ、5分間の充電で10キロ以上走行する。車両価格は通常の路面電車より2割ほど高いが、減速時のエネルギーを再利用する分、省エネ性能が高い。
米国では10〜14年に路面電車の需要が400編成(1編成は約30メートル)あり、電池で走る路面電車にも関心を示しているという。米国では郊外での最高時速が日本の2倍の80〜90キロとなるため、モーターの出力や車両強度などの設計を変えた米国向け車両を開発することにした。日本国内での販売も検討している。