現在位置:
  1. asahi.com
  2. ライフ
  3. トラベル
  4. 鉄道
  5. 鉄子の鉄学
  6. 記事

JR鶴見線(神奈川県) 「外に出られない」運河の駅

2008年12月14日

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 このエントリをYahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真拡大海芝浦駅のホームから、運河を望む

地図地図

 時刻表の巻頭ページには全国の鉄道路線が掲載された「索引地図」があります。私はこれをコピーしたものをスケジュール帳に挟んで持ち歩き、暇さえあれば見つめています。1時間くらいはあっという間に過ぎますし、何年たっても飽きません。

 この索引地図を眺めていて、いつも感嘆してしまうのが、東京、大阪、名古屋といった大都市付近の拡大図。まるでクモの巣のように路線があるため、ついあれこれと乗りたくなります。本来の目的地へ行くのに、時間の許す限り、遠回りや寄り道を考えてしまうのですね。

 先日は横浜から東京に移動するとき、「新幹線かな、在来線を乗り継ごうかな」と考え、鶴見線に乗りました。

 神奈川の京浜工業地帯を走る鶴見線は、鉄道ファンの間では知られた路線。鶴見駅から浅野駅を経て、海芝浦駅へ向かう支線では、途中から運河に寄り添うので、車窓の一方は水面、もう一方は工場地帯という景観が広がります。

 たどり着いた海芝浦駅は企業の敷地内にあり、駅がその入り口を兼ねています。つまり企業の玄関口なので、駅の外に出られるのは従業員か許可を得た関係者のみ。それ以外の乗客にとって「外に出られない駅」として、鉄道ファンから注目を集めました。

 その珍しさもさることながら、ホームのたたずまいが好きです。対岸に望むのは「扇島」や「鶴見つばさ橋」といった人工的な運河。ホームの柵(さく)越しに下をのぞくと水面が見え、寄せては返す波の音が、ちゃぷんちゃぷんと響きます。なんだか運河に漂流するホームといった感じがし、不思議な旅情に包まれます。

   ◇

 【JR鶴見線】 鶴見―扇町7.0キロ、浅野―海芝浦1.7キロ、武蔵白石―大川1.0キロ。1926年に私鉄「鶴見臨港鉄道」として開業した。1943年に国有化されて国鉄鶴見線となり、1987年にJR鶴見線に。浅野―海芝浦間は朝夕の通勤時以外は、1時間に1往復程度の運行なので、事前に時刻表でダイヤ確認したほうがよい。海芝浦駅は駅から外に出られないが、駅敷地内にベンチなどが設置された小さな公園があり、鉄道利用者にも開放されている。

プロフィール

矢野直美(やの・なおみ)

北海道札幌市生まれ。“撮って書く”フォトライター。
情報誌編集部を経てライターとして独立。2000年より列車旅行の撮影をスタートし以後、著書や写真展などで作品を発表している。
主な著書に「おんなひとりの鉄道旅」「鉄子の旅写真日記」など。

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内

ここからおすすめ旅行

ここまでおすすめ旅行

アサヒ・コム プレミアム

プレミアム

思ひ出鉄道館

「思ひ出鉄道館」

全国各地を走る個性豊かな列車たちの写真を紹介します