WBC中継に沸くソウルのビアホールで

2006年03月22日

写真

試合開始前から「テーハンミングッ!!」が鳴り響いた、満員のソウル蚕室野球場

 快晴の日曜日、WBC準決勝を中継放送するソウル蚕室(チャムシル)野球場は、お揃いのTシャツ姿の“パラントッケビ”(青いお化け)で埋め尽くされました。グラウンドに広げられた大きな太極旗、上空を旋回する放送局のヘリコプター、バックスクリーンに映し出される前々日の日本戦の模様に、スタンドは試合開始前から沸騰状態。タクシーで駆けつけた私もワールドカップ以来、久しぶりに「テーハンミングッ!!」を連呼しました。

 中盤まで無得点が続いたので、私はビアホールで観戦しようと、新川(シンチョン)の繁華街に移動しました。大型ビアホールは大ジョッキをおかわりする人たちで賑わっていましたが、7回表の日本の攻撃で生ビールのオーダーはぴたっと止まってしまいます。

「野球はやはり日本が先輩だしな…」

 そんな気持ちで日曜の昼間から飲むビールの味は、ただただ苦いとしか言いようがありません。そして、代打宮本のレフト前ヒットで4対0となったとたん、店内に異変が起こります。なんと、客の半分近くが席を立ってしまうではありませんか。

「えっ、どうして?」

“熱しやすく冷めやすい”韓国人の気質を表すこの言葉でひとくくりにされるのは嫌いなのですが、このときばかりは「韓国人、あきらめが早すぎ」と、認めざるを得ません。ふと、日本に留学していたときによく観ていた、ヤクルトや阪神ファンの熱心な応援風景が思い出されました。勝敗に関わらず、野球そのものを、そして応援そのものを楽しんでいる日本のファンの姿に、文化的成熟を感じたと言ったら大げさでしょうか。私たち韓国人は、選手の徴兵制免除をどうのこうの言う前に、まずスポーツ観戦の態度を改めなければ。そう強く思わされました。

 たった今、目の前のテレビが日本の優勝を伝えています。2002年ワールドカップのとき、コリアンタウンで韓国を応援してくれた日本のみなさんの姿を思い出しながら、心より「チュッカ ハムニダ!(おめでとうございます)」と申し上げます。



【プロフィール】

鄭銀淑 チョン・ウンスク(JUNG EUN SOOK)

1967年生まれ。世宗大学院修士課程修了後、日本に留学。訳書に 『家庭で作れる「チャングム」の韓国宮廷料理』『コリアン・ダイエット』(光文社)『シルミド』『ボクが捨てた北朝鮮 生活入門』(幻冬舎)。 著書に 『図解アッと驚く北朝鮮!』(三笠書房)『一気にわかる朝鮮半島』(池田書店)など。
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