太陽の熱とキビの甘さ 波照間(はてるま)島 (沖縄県)2006年12月15日 日本最南端にある島の、冬の夜明けは遅い。朝6時を過ぎても夜空に満天の星が輝き、島のおじいやおばあがシカマ・フシ(仕事星)と呼んでいる金星がひときわ明るく光っている。研ぎ減りした鎌のような細い月が、西の空の端っこにある。
南の島の朝は突然明けてくる。東の空が薄ぼんやりとしてきたかと思うと、急速に夜を追いやって青空が広がる。太陽がぐんぐん昇り、強い日差しが照りつけて、一気に真昼に突入する。サトウキビが紺碧(こんぺき)の空に向かってそびえ立つ。ススキに似た白い穂が、日を透かして絹のような光沢で輝いている。この穂が出ると、芯にたっぷりと糖分を蓄えている。 ◇ サトウキビ畑の奥で陽気な話し声がする。道を回り込むと7〜8人の人が刈り入れをしていた。島ではこの時期、猫の手も借りたい忙しさ。体の動く者は年寄りから病み上がりの人まで駆り出される。 「ヤマトンチュウ(内地人)か。キビ刈り、手伝いにきてくれたの?」 人なつこい笑顔に誘われて腕をまくる。裸足にゴム草履が気になったが、エイ、ヤッと畑に飛び込んで、鎌を借りる。サトウキビは一つの根株から何本も茎を出し、1本1本が湾曲して伸びている。竹のように節があり、皮が硬い。その根元から鎌で切り倒していく。邪魔な葉や外皮を切り、糖分の少ない茎の先を切り落とす。炎天下で滝のような汗をかき、腕や腰が痛くなった。頭もぼんやりとしてきた。 ◇ サトウキビは、刈り取ったそばからトラックに積み込まれ、島に1軒の製糖工場に運ばれていく。 褒美にサトウキビを1本もらって、生竹のように硬い茎にかじりついた。口の中がむずがゆくなるような甘みが広がってきた。純粋な、黒糖の味だった。 (文・イラスト 遠藤ケイ) 見どころ
見どころ沖縄本島の南西約450キロ、日本最南端の有人島。島の名は「果てのウルマ(サンゴ)」に由来する。産業の中心はサトウキビ栽培で、工場で製品化された黒糖は沖縄一とも称されるほど。
●高那崎島南東端の荒々しい絶壁。日本最南端の碑や、本土復帰の際に全国から持ち寄られた石で作られた碑が建っている。
●星空観測タワー地理的にジェット気流の影響を受けにくい島は、星のゆらぎが少なく、数多くの星が観測できる。特に、南十字星は国内で最もよく見える。現在、施設はこの秋の台風被害のため、夜間の天体観測は休止中。
●ハマシタン群落ハマシタンは、別名ミズガンピというミソハギ科の南方系植物。樹高3メートル、樹齢は数百年といわれる大木が生育し、県内でも最大規模。
●ニシハマビーチ真っ白な砂と澄み切った海が特徴の海水浴場。海の青の濃淡の変化が美しい。
◆案内竹富町役場波照間出張所 問い合わせは0980・85・8428。 竹富町観光協会(石垣島) 問い合わせは0980・82・5445。
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