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島旅たび

伝統の麦焼酎に酔う

壱岐(いきの)島 (長崎県)

2006年12月29日

 玄界灘の真っただ中に取り残された島は、意外にも丘陵地に田畑が広がる豊かな穀倉地だった。降り注ぐ太陽と心地よい海風に抱かれて、米や麦がよく育つ。島で一番高い岳ノ辻(213メートル)の豊富な伏流水が、穀物も島の暮らしも支えてきた。

写真島の斜面に広がる棚田
イラスト壱岐(いきの)島(長崎県)
地図【交通】博多港から郷ノ浦港または芦辺港。高速船で約1時間10分。1日3〜5便。4900円、小学生2450円。フェリーで約2時間20分。1日3〜5便。2400円、小学生1200円△呼子港から郷ノ浦港(3月1日[木]〜印通寺港)。約1時間20分。1日4〜5便。1850円、小学生930円。九州郵船電話092・281・0831。※面積約139平方キロ、周囲約168キロ。人口約3万2200人。

    ◇

 壱岐は麦焼酎発祥の地。米や麦がとれ、いい水があると酒を造りたくなるのは現代人も古人(いにしえびと)も同じらしく、焼酎造りは16世紀ごろから盛んだったという。かつて、もろみを釜で炊いて蒸留したことから「火酒」と呼ばれた。蒸留技術は中国から伝わった。壱岐は、1700年前の弥生時代、中国の「魏志倭人伝」に「一支(いき)国」としるされ、古くから日本とアジア大陸を結ぶ文化の中継地だった。

 「米も麦もとれるが、米は課税が厳しかった。麦は年貢がなかったとじゃけん、麦で焼酎を造りよったのが始まりです」

 壱岐焼酎『山乃守』の杜氏(とうじ)、有永嘉弘さん(68)が、櫂(かい)でかめを撹拌(かくはん)しながら言う。ほの暗い仕込み蔵に、こもを着た大きなかめが並んでいる。白濁した海に静かな渦が巻く。一日ひと櫂ふた櫂。約3週間、もろみが力をつけて発酵していく。山乃守では代々、カメ仕込みの製法を守り継いでいる。

 原料の配分は麦が3分の2、米麹(こうじ)が3分の1。それが理想的な比率とされ、七つある蔵元が江戸時代から厳格に守り通している。それでも酒は生き物。蔵によって味の違いが出る。

 「壱岐の焼酎は、蔵元が味を決める。杜氏は蔵の味を守り継いでいくのが仕事です」

    ◇

 伝統の酒は1995年、世界貿易機関から、材料と製法を指定した「国際ブランド」として保護されることになった。高い麦の香り、まろやかな甘さと深いコク。世界の銘酒をつい飲みすぎて、滞在が1日のびた。

(文・イラスト 遠藤ケイ)

見どころ

見どころ

 福岡と長崎・対馬の中間に位置し、玄界灘に面した全国で20番目に大きな島。土地全体の約3割が農用地で、比較的なだらかな地形をいかし米や葉タバコ、肉用牛などを生産する。ほかに漁業や観光業も盛ん。

●猿岩

 猿にそっくりな奇岩。高さ約45メートルの大猿が水平線を眺める姿はほほ笑ましい。

●壱岐・原(はる)の辻展示館

 弥生時代の「一支国」の王都とされる原の辻遺跡は、総面積約100万平方メートル。発掘された出土品の展示や復元作業を見学できる。

●筒城浜海水浴場

 「日本の水浴場88選」に選ばれた。夏には浜にネットを張り、近海でとれた魚を放流する「魚と泳げる海水浴場」となる。

●湯ノ本温泉

 海に浮かぶ島々と夕日が美しい温泉郷。神功皇后が応神天皇の産湯をつかわせたという伝説がある。

●壱岐・壱岐綱引大会

 2月18日[日]、石田町で。同町の町おこしとして始まったが、今では九州以外からの参加があるほどの大きなイベント。

◆案内

 壱岐観光協会 電話0920・47・3700

 壱岐市役所 電話0920・48・1111

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