毎日配達、手紙と心 寒風沢(さぶさわ)島 (宮城県)2007年01月19日 島の桟橋に隣接するカキの処理場周辺は、人でごったがえしていた。カキを焼くいいにおいが立ち込めている。彼らは観光クルーズでやってきた人たちで、旬の味の試食と買い物のコースが人気になっている。「荷物はゆうパックで送りますよー」。出張郵便局員が声を張り上げている。桂島の浦戸郵便局の長井寛(ゆたか)さん(38)だ。
◇ 長井さんとは、来るときの船で一緒だった。塩釜から松島湾の島々を経由してくる定期船。寒風沢島に着いたときに乗船客は2人だけになっていた。カキの処理場に誘ってくれたのも長井さんだった。本場の三陸産カキはふっくらとしておいしく、ちょっと銅をなめたような味がした。 その後も、長井さんとは島で何度も出会った。歩いて島めぐりをしていたら、自転車で郵便を配っていた。次は雑貨屋でカップラーメンにお湯をもらって食べていたときだ。店の奥で荷物と郵便貯金を預かりながら、世間話をしていた。島の人たちに頼りにされている。お年寄りは島の外の話が聞けるのを楽しみにしている。「さっちゃんに直接渡してね!」という声が聞こえた。 ◇ 毎日、浦戸諸島の島々を回っている。「島の郵便配達人」になって5年になる。桂島の石浜港から定期船に乗って寒風沢島に渡り、自転車で配達すると、渡船で野々島に渡る。そこにも自転車が置いてある。朴(ほお)島は徒歩で配達する。 「雨の日も、風の日もあるけど、手紙は人の心を届けるものだから、休むわけにはいかない」 長井さんは、そう言うと、桟橋の赤い旗を揚げた。それを合図に対岸の野々島から渡船が向かってくる。150メートルの距離。しばらくして、野々島の坂道を自転車を押して上っていく長井さんの小さな姿が見えた。 (文・イラスト 遠藤ケイ) 見どころ
見どころ松島湾内に点在する桂島、野々島、朴島とともに浦戸諸島をつくる。諸島の中で最も大きな島。主な産業はカキやノリの養殖。
●日和山展望台船からは味わえない独特の美しい眺望が楽しめる。ここにある「十二支方角石」は、天保年間に造られた。江戸時代、島は伊達藩の江戸廻米の港として栄え、この石をもとに天候観測や出入りの船の監視をしていたという。また、島に遊郭があったころ、遊女たちが男たちの船出を止めようと、地蔵を荒縄で縛って逆風祈願をしたという伝説をもつ「しばり地蔵」もある。
●造艦の碑幕末期、国防上の必要から伊達藩が造船技師を島に招き、日本初の西洋型軍艦「開成丸」を建造した。寒風沢港から徒歩2分。船を建造した場所に建てられている。
●ハイキングコース島の南西部は「新・奥の細道」と名付けられた東北自然歩道に指定されており、観光名所をめぐることができる。道標も整備されており、散策が楽しめる。
◆案内塩釜市役所 問い合わせは022・364・1111 本塩釜駅観光案内所 問い合わせは022・362・2525
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