くさやの素、発酵300年 八丈(はちじょう)島(東京都)2007年01月26日 島ではいま、ムロアジとトビウオが揚がっている。大きくて羽が長いトビウオは、通称「春トビ」。春を告げる魚だ。どちらも、名産「くさや」の材料になる。
◇ 加工場は、強烈なにおいが充満していた。苦手な人は、息をとめて外に逃げ出すが、好きな人はこのにおいだけで酒の2合や3合は飲めそうだ。 「においは3分で慣れてしまう。敏感な人でも5分で鼻がバカになる。人間の嗅覚(きゅうかく)なんてアテにならない」 くさやの老舗(しにせ)「丸十水産」の持丸照男さん(44)が笑う。ほの暗い加工場の隅に、においの元のくさや液が入ったおけが並んでいる。液は泡を吹いてドロドロに濁っていた。江戸時代から300年受け継がれてきた、くさや屋の命だ。八丈島では昔、娘の嫁入りに家のくさや液を持参金代わりに持たせたという。 「くさや液の元は塩水。昔、干物を作るときに漬けた塩水を、繰り返し使っているうちに、魚のうまみが染み込んで熟成していった」 江戸時代、島では年貢米の代わりに塩を納めさせられた。その貴重な塩を節約したことから、くさや液が生まれた。 早朝に水揚げされたばかりの魚を開いて内臓やエラを取り除き、数回の水洗いと血抜きをして液に漬け込む。液をゆっくりかき混ぜながら、魚の上下を変えてやる。液はぬか床と同じで、かき混ぜないと腐ってしまう。酷使すると菌がくたびれてしまうので、2日間は休ませる。夜中に魚を上げ、塩分を水で洗い落としてから約1週間、天日干しする。 ◇ くさやのうまさは格別だ。その上、ビタミン類やアミノ酸などが豊富に含まれ、抗菌作用もある。さらにいいことに、二日酔いの防止にも大きな効果があるのだ。 (文・イラスト 遠藤ケイ) 見どころ
見どころ伊豆諸島の南部、東京から南へ約290キロの太平洋上の島。西山(八丈富士・854メートル)と、東山(三原山・701メートル)の二つの火山をもつ。黒潮暖流の影響を受け、温暖な常春の島。花や緑、温泉など豊かな自然環境を生かして、観光業が盛ん。
●TEPCO八丈島地熱館島の電力供給のベースは地熱発電。風力発電も行っており、クリーンエネルギーのモデル島とされている。体験コーナーや映像で地熱について学ぶことができる。
●玉石垣昔、流人たちがおむすび1個で石一つを海岸から運んだという言い伝えがある。大里地区の玉石垣が、規模、保存状態ともに最もいい。
●末吉温泉みはらしの湯太平洋を眼下に望む露天風呂。その名のごとく、見晴らしは抜群。満天の星空を眺めながら入浴できる。
●丸十水産くさや製造販売の店。加工場がそのまま店舗になっていて、くさやの製造過程を見学できる。地方発送も可。(TEL04996・2・0378)。
◆案内八丈町役場 問い合わせは04996・2・1121 八丈島観光協会 問い合わせは04996・2・1377
|