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島旅たび

豊かな海、伝統タコ漁

神(かみ)島(三重県)

2007年05月25日

 網の中から生きたタコをつかみ出すと、8本の長い「足」が腕にからみついてはい上ってきた。吸盤が吸い付いて離れない。そのうち、片腕そっくりタコになった。大きなマダコだ。

イラスト神島(三重県)
地図【交通】鳥羽市営定期船で、同市の中之郷桟橋、佐田浜港から神島港。1日4便。約50分。710円、小学生360円、未就学児は同伴の大人の人数まで無料。問い合わせは鳥羽市定期船課、0599・25・4776。※面積約0.8平方キロ、周囲約4キロ。人口約500人。

    ◇

 「神島はタコの島や。昔からタコを捕って暮らしとるし、タコを食って生きとる」

 漁師の藤原睦寿さん(64)が「このタコは雌やで」と言って笑っている。冗談かと思ったら、雄のタコは吸盤が大きくて不ぞろいだが、雌は吸盤が小さくて真っすぐにそろっているのだという。同じ吸い付かれるなら、雌の方がいいという顔をしている。

 島は伊勢湾の入り口、伊良湖水道の真っただ中にポツンと浮かぶ。木曽川や長良川、庄内川などの河川水が流れ込み、潮の干満で太平洋の海水が島を通って吐き出され、のみ込まれている。だから、海は栄養豊富で魚介に恵まれている。特に、昔からタコつぼ漁が盛んだった。

 定期船が島に近付いて真っ先に目に入ったのが、山のように積み上げられたタコつぼだった。漁師たちが一心不乱でタコつぼを掃除していた。

 「タコはきれい好きや。つぼが汚れてると入らん。きれいなつぼ、新しいつぼだとスッと入りよる」

    ◇

 島では、刺し身をはじめ焼いたり煮たり、酒蒸しやタコ飯にして食べる。冬は保存用に干しダコにする。内臓を取り出したアタマの中に、弓なりに曲げた竹を入れ、足の根元にちょっと包丁を入れて長い串で広げる。さおにつるして浜風に泳がせると、ほぼ1週間で干し上がるという。

 港近くの食堂でタコを料理してもらった。三島由紀夫の小説「潮騒」の舞台にもなった神島のタコは、かみ締めるほどに味わい深かった。

(文・イラスト 遠藤ケイ)

見どころ

見どころ

 鳥羽港の北東約14キロ。港から背後の山頂にかけての急斜面に家が階段状に密集している。5度も映画化された三島由紀夫の小説「潮騒」の舞台でもあり、実際の地名がそのまま小説に登場する。

●監的哨(かんてきしょう)跡

 戦時中、試射弾の着弾地点を監視したという旧陸軍の施設跡。眺めがよく、対岸の渥美半島や伊良湖岬、伊勢湾などが見渡せる。「潮騒」のクライマックスの場所でもある。

●ニワの浜

 石灰岩が風化して出来たカルスト地形が見どころ。鋭く切り立った岩が山の斜面を覆っている。青い海に映える白い岩肌が美しい。

●神島灯台

 1910年に点灯。日本で初めての白熱電灯による電気灯。海上保安庁の「日本の灯台50選」に選ばれている。10月ごろ、タカの渡りを観察できる。

●八代神社

 古くから伊勢湾を航行する船の守り神とされてきた。本殿までは214段の石段をのぼる。元日に行われる「ゲーター祭り」は、日輪に見立ててグミの木で作った輪を、島の男たちが竹で刺し空高く持ち上げる島独特の伝統行事。

◆案内

 鳥羽市役所    問い合わせは0599・25・1111。

 鳥羽市観光協会  問い合わせは0599・25・3019。

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