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◇ 利根川の支流、ここ小野川は、古い佐原の街を東西に分けて流れる。これをまたいで農業用水を通すため、その昔、大きな樋(とい)が造られた。江戸時代の絵図に、その姿が描かれている。上に板を張って「樋橋(とよはし)」の誕生。水が両側からあふれて「ジャージャー橋」とも呼ばれた。 樋を造ったのは、江戸後期に日本全図を完成した伊能忠敬(ただたか)の一族だ、そう地元では信じられている。橋の前に忠敬の屋敷跡があって、人々は「今の佐原があるのは伊能家と『ちゅうけい先生』のおかげ」、と口をそろえる。 地元の名主(なぬし)をつとめた一族は測量技術に通じ、利根川の利水治水に尽力したらしい。忠敬も、利根川の堤防修築で活躍したとの記録が残り、洪水で流された田んぼを測量し直したという言い伝えもある。樋橋がいつ出来たのか、正確なところは分からない。が、わずかな傾斜を巧みに利用した送水システムは、伊能家の者が手がけたに違いない――。 ◇ 先人の治水にかけた熱意を、そんな伝承で引き継いでいるからだろう。昭和に入って水路が不要になり橋は架け替えられたが、市民の声が盛り上がり、通水を再開した。小江戸情緒を残す町で、忠敬も聞いたかもしれない水音が、今も観光客の耳をうるおしている。 (04/21)
観光案内
◆伊能忠敬の功績今から200年ほど前、列島を歩いて正確な日本地図を作った。30余年暮らした旧宅から小野川を挟んだ向かいには、「伊能忠敬記念館」(問い合わせは0478・54・1118)。地図や測量器具などを展示。午前9時〜午後4時半。500円、小中学生250円。(月)と、(祝)の翌日休み。
◆小江戸の町並み小野川一帯には、古くは江戸時代に造られた土蔵造りの商家が立ち並ぶ。その多くが、修復しながら今なお商いを続け、利根川、小野川の水運を利用して「小江戸」と呼ばれるほどに栄えた、かつての商都の息づかいを感じさせる。樋橋の落水は午前9時〜午後5時、30分間隔。小野川の水をくみ上げて、自動装置で流している。
◆水郷の舟めぐり「小野川・町並舟めぐり」は「町並コース」、1200円、小中学生600円。「大利根コース」、1300円、同700円。午前10時〜午後4時(5〜9月は5時まで)。問い合わせはぶれきめら(0478・55・9380)。 ▼「十二橋舟めぐり」は、利根川を北に渡った与田浦で。1隻5人まで6500円(6人以上から1人1300円、小中学生650円)。午前8時〜午後5時。6月以外は要予約。問い合わせは与田浦観光組合(0478・56・2343)。
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