トップ テーマで行く旅 海外旅行 国内旅行 特選

日本音紀行

名所に命吹き込む残響
日光の鳴竜(栃木県日光市)

 「頭の下で拍子木を打つと、鈴をころがすような妙音が聞こえるところから、鈴鳴きの竜……」

写真

天井に描かれた竜の顔の下で拍子木をたたくと、鈴のような音が、どこからともなく聞こえてきた

地図

【交通】JR日光駅は、東京駅発新幹線で宇都宮経由、日光線で計約105分。東武日光駅は浅草駅発東武線特急で約110分。

 口上に続いて、鋭い拍子木の音。と同時に、天井に描かれた大きな竜が、ちょうど顔のあたりから、シュワシュワシュワ――澄んだ柔らかな響きを発し始めた。竜が、鳴いている。本当にそう思えた。

    ◇

 「昔は手を打っていたので、もっと低い音がした。鳴き声にもすごみがあって、いかにも竜の声のようでした」。日光山輪王寺執事の今井昌英さんが言う。

 拍子木を使い始めたのは20年ほど前からだ。観光客は今、堂内中央の漆塗りの床面を取り囲む一段高くなった所で、案内人が打つ拍子木の音に耳を傾ける。多くの人が一度に竜の頭の下には行けないし、各自がてんでんばらばら手をたたいたら、確かに竜も困ることだろう。

 最初から音の効果を意図して造られたのか、誰かがこの現象に偶然気づいて「鳴竜」と命名したのか。史料が残っていないので分からない。一般に公開するようになったのは明治の初めだ。四十余年前に火災に遭い、天井の復元時には鳴竜をも意識していたことははっきりしている。

    ◇

 拍子木の打ち方や聴く位置によって、音は微妙に変わる。ルルルルルと軽やかに鳴くときもあれば、ビョビョーンとほえることもある。除災開運の吉祥音とのことだが、鳴き方で御利益の中身も違うのだろうか。

 余韻に浸りつつ外に出る。目に入るのは境内のあちこちに彫られた様々な動物たち。さてこれは、どんな声で鳴くのだろう。

(04/28)

観光案内

◆世界遺産の信仰地

 徳川家康をまつる「東照宮」と、「輪王寺」「二荒山神社」のある信仰地一帯を指し「日光山内」と呼ぶ。99年には、これら二社一寺の建造物を中心とした文化的景観が、世界文化遺産に登録された。「鳴竜」があるお堂は、東照宮本地堂、別名輪王寺薬師堂。竜の絵は、もとは狩野永真安信の作だったが、61年の火事で焼失後、堅山南風の創作に。二社一寺共通券1000円、高校生600円、小中学生400円。午前8時〜午後5時。問い合わせは輪王寺(0288・54・0531)。

◆日光ゆば

 8世紀、輪王寺の前身が建立されたのを機に、一大霊地として栄えた日光。全国から修業に集った僧や修験者を支えたのが、栄養と保存に優れたゆばだった。薄さが特徴の京都の「湯葉」に対し、日光の「湯波」は幾層にも巻き上げる。市内の日光ゆば製造日光工場(TEL0288・26・4890)では、見学((日)と(祝)は除く)、製造体験(有料)可。午前9時〜午後3時。1週間前までに要予約。不定休。

◆滝めぐり

 「日光四十七滝」といわれるように、97メートルもの絶壁を落下する「華厳ノ滝」、水しぶきが霧状になる「霧降ノ滝」など多数点在。



ここからツアー検索です

ツアー検索

情報提供元 BBI
ツアー検索終わり ここから広告です
広告終わり

特集記事

中国特集へ
ドイツ年特集へ
∧このページのトップに戻る
asahi.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。 Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.