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日本音紀行

願かけの水、柔らかに
水かけ不動(大阪市)

 大阪ミナミの歓楽街、道頓堀。飲食店の看板の大きなカニやフグの下で、音の洪水にのみ込まれた。店から流れる音楽やゲームセンターの電子音……。通行人の声と一体となった喧噪(けんそう)は実に派手で、迫力満点だ。

写真

昼も夜も思いをこめた水がかけられる不動明王は、苔の衣を着ているようだ=大阪市中央区難波1丁目で、

地図

【交通】法善寺へは新幹線・新大阪駅から地下鉄御堂筋線で、なんば駅へ。下車徒歩約5分。

 しかし横丁に足を踏み入れると、一転して静けさに包まれた。しっとりぬれた石畳が延びる。路地の奥から、ほのかな線香の香りが漂ってくる。自分の足音が聞こえる。

 「水かけ不動さん」で親しまれる法善寺につながる通りに出る。参拝の人が思い思いに不動像に水をかけていく。「バケツでバシャッとかける人もいてはる。優しいかけ方の人も、キツくかけはる人も。水の音は、願いをかける音。拝む人の思いが音になってでてくる」。法善寺住職の神田眞晃さん(52)は言う。

 もとは拝むときに水をお供えしていたが、お不動さんにすがりつく思いからか、手でピシャピシャと水をかけた女の人がいた。以来、みんな水をかけるようになった――。神田さんはそう先代から聞かされた。

    ◇

 今、どんなふうに水をかけても、その音は柔らかく吸い込まれていく。不動像の全身が苔(こけ)むしているからだ。戦後しばらくして、自然に生えてきたという。参拝者の熱い思いを受け止めるための、お不動さんなりの工夫でしょうか。そう問うと、神田さんは「人々の願いが、苔になっているんではないんかな」。

 帰りがけ、脇の井戸で水をくむ。ギーッという音が手に懐かしく響き、気持ちがふっと落ち着く。さわやかな水音に包まれ、すがすがしい風が流れた。

(07/28)

観光案内

◆法善寺

 火炎を背に右手に剣、左手に縄を携え、憤怒の表情を浮かべる「不動明王」をまつる。どんな御利益も得られると信じられ、商売繁盛や家族の健康などを願って、日本各地だけでなく韓国や中国からも参拝客が訪れる。TEL06・6211・4152。

◆商人の活気あふれる道頓堀

 江戸時代初期に完成した長さ約2.5キロの運河・道頓堀に沿って、大阪有数の繁華街が広がる。多くの飲食店が集まり、着るものにお金を惜しまない京都の「着倒れ」に対して、「食い倒れ」の街として名高い。

 川沿いを一歩入った通りに、かつては歌舞伎や浄瑠璃を上演する角座、浪花座など「道頓堀五座」と呼ばれる芝居小屋が立ち並び、船で観劇に繰り出した商人らでにぎわったという。現在、そのいずれも幕を閉じ、浪花座の跡地には、大正末期・昭和初期の町並みを再現したテーマパーク「道頓堀極樂商店街」がある。たこ焼き屋やお好み焼き屋など約40店舗。大阪市中央区道頓堀1丁目(なんば駅)。午前11時〜午後11時。入館料315円、小学生210円。TEL06・6212・5515。併設する芝居小屋「ゑびす座」は夏休み期間中、お化け屋敷に。

(2006年7月26日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)



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