現在位置:asahi.com>トラベル>よくばり湯の旅> 記事
名人殿堂入りをめざして別府温泉郷へ(大分県)2007年10月05日 ラーメン屋さんに温泉がある。ラーメンを食べると入湯料は100円。寺の境内にも小さなお湯がある。ご住職がこしらえ、開放している。感謝とおさい銭を。
競輪場の駐車場には市営の湯が湧(わ)く。開催日は入湯料タダ(ふだんは100円)と太っ腹だ。食堂「いちのいで会館」の露天風呂の湯はコバルトブルー。絶景。 お湯の湧出(ゆうしゅつ)量日本一。全国の源泉の1割があるといわれる別府。町に息づく温泉文化は、これはちょっとはんぱじゃない。 「温泉道」というものがある。道路ではない。温泉を究めるスタンプラリーのことだ。6年前、別府の町づくりを考える市民らが企画し、名物イベントになった。 ホテルや旅館、公共や私営の湯を巡る。今年は136の湯が登録された。八カ所の湯に入って「初段」。以後八カ所ごとに段位が上がり、お遍路さんと同じ八十八カ所を制覇すると「名人」の称号が与えられ、「殿堂入り」する。 延べ1500人ほどの名人の、3分の1以上が女性だそうだ。 柴石温泉。山間の露天風呂。 地元のお年寄りとなんとなく戦中、戦後の話になった。「こうして湯に入っていられるのは極楽ですなあ」。昭和ヒトケタ生まれの言葉が心にしみる。 相槌(あいづち)をうちながら、あまりのんびりしてはいられないのがツラい。外で、温泉名人・古庄輝光さんのタクシーが待っている。 湯あたりしつつも欲が出て、半日で八カ所完浴。颯爽(さっそう)と初段! ◇ 温泉につかる心地良さだけでなく、そこに驚きと趣のひと味。そんな「よくばり」を求めて旅します。 (ライター・宮本貢 撮影・比田勝大直) |