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地球の熱でホックホク料理 中房温泉(長野県)2007年10月19日 「まだ早いかな」
「そろそろいいんじゃない?」 山登りに来たという中年の女性グループと一人旅の男性が、楽しそうにのぞき込む。スコップで掘った穴に、新聞紙にくるんだ生卵やソーセージを埋めていた。あとは何もせずに、ただ待つだけ。100度を超す砂の温度を利用した簡単蒸し料理の完成だ。 北アルプス・燕岳(つばくろだけ)の登山口にある中房(なかぶき)温泉の一軒宿から、敷地内の山道を上って15分。突然、開けた場所に出る。数カ所の穴から白い蒸気が上がる「焼山」という地熱地帯。かすかに硫黄のにおいが漂い、地面はくだけた花崗岩(かこうがん)で白い。 わずか10分ほどで、生卵は「地熱蒸し卵」になった。白身はゆで卵よりやわらかく、半熟の温泉卵より硬い感じ。中からしっかり蒸し上がり、食べたら石焼き芋のようにホックホクしていた。 こんな地熱に温められ、中房温泉の源泉は70〜97度にもなる。空気にさらしたり、冷水のパイプを通したりすることで、薄めずに適温にしている。なめらかで、入るとつるつるする「美肌の湯」。これも含まれる成分の恵みか。温泉プールなどの変わり種も含めて風呂は屋内外に14カ所。1泊ではとても回りきれそうもない。 昼間は食材だったが、夜になって「地熱浴場」で自分の体を蒸してみた。むしろを敷いて横になったら、山すそまでびっしりと瞬く星空が迫ってきた。1時間余りで5、6回、流れ星に出合った。ほおをなでる風は冷たいが、体の芯から温まり、汗が噴き出てきた。(ライター・野添ちかこ 撮影・垣内博) ◇ ●一軒宿「中房温泉」 標高1462メートルにあり、敷地総面積は約7万坪に及ぶ。紅葉の見頃は10月中旬〜下旬。 ▼「焼山」での地熱蒸し フロントでジャガイモ、手作りソーセージなどの食材を販売するほか、4時間かけて蒸し上げたローストビーフなども用意(要予約)。宿泊者対象。 ▼冬季閉鎖 積雪で宿までの交通が困難になるため、11月24日泊までの営業。雪解けを迎える来春4月27日ごろ再開予定。1室2人以上利用、1人1万5900円から。問い合わせは中房温泉(0263・77・1488)。 ●燕岳(つばくろだけ)登山 標高2763メートルの山頂までは、登山口から約4〜5時間、下りは約3〜4時間が目安。中房温泉から日帰り可。問い合わせは燕山荘松本事務所(0263・32・1535、土・日・祝休み)。 ◇ (2007年10月16日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください) |