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大自然のパノラマショー ほったらかし温泉(山梨県)2007年11月02日 甲府盆地を一望する標高700メートルの高台にある観覧席は、300人近い人が入場しても余裕の「天空の湯」。早起きして夜明け前に到着すると、藍(あい)色の中空にまたたく星、甲府盆地のきらめく夜景、そしてシルエットの稜線(りょうせん)上に浮かぶ彩雲のような朝焼けと、大自然をキャンバスにしたパノラマショーが繰り広げられた。
待つときの日の出は時間がかかる。訪ねた日は午前6時3分、左側の大菩薩連嶺からほのかな光が束になって湧(わ)き上がると、「おおーっ」というどよめきとともに拍手が起きた。まさにご来光。そして、みんなの首がそろってくるりと右に向けたその視線の先には、霊峰富士が光に映えていた。 早朝に湯船の清掃作業をするスタッフが、「こんな絶景、もったいない」。で、営業開始時間を3年前の12月から日の出1時間前にした。 この湯を、宣伝しない、サービスしない、勝手に楽しんでと「ほったらかし温泉」と名付けたのは常岡通社長(73)だ。本業の老舗(しにせ)ホテルが経営難で、無一文からのスタート、苦肉の策でもあった。 露天風呂に屋根を付ける資金もなく、炎天下や雨天にはすげ笠を勝手にかぶってもらうなど、これまたほったらかし。が、それがかえってウケた。施設の大半が手づくりで、一番目の湯船を「こっち」と呼んでいたので二番目は「あっち」とネーミングもいたって簡潔なのだ。 場所はちょっと分かりにくいのに、ツーリングの若いライダーや観光バスまでが大挙してやってきて、秋の連休は駐車場満杯の賑(にぎ)わいだった。 (文・写真 外山ひとみ) ◇ ●ほったらかし温泉 笛吹川フルーツ公園を通り抜けた先にある日帰りの湯。南を向き真正面に富士山が見える「こっちの湯」と、南東を向き甲府盆地、日の出を望む「あっちの湯」の2浴場。それぞれに内風呂、露天風呂があり、男女別。各湯600円、小学生以下400円。営業時間は、日の出1時間前〜午後10時(受け付けは30分前まで)。無休▼棚山登山 同温泉から、1171メートルの山頂まで約3時間、下りは約2時間。 【問い合わせ】ほったらかし温泉(0553・23・1526)。 ◇ (2007年10月30日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください) |