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よくばり湯の旅

ダム湖をさかのぼって行く 大牧温泉(富山県)

2007年11月23日

 富山湾から五箇山へ、ダム湖の連なる庄川をさかのぼる。途中の山あい、川のほとりの一軒宿は、たどり着くまでがひと味違う。

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庄川峡の紅葉の中を大牧温泉への遊覧船が進む

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【所在地】南砺市利賀村大牧【交通】小牧ダムから遊覧船で約30分。同ダムへは、高岡駅からバスで約1時間15分、北陸道砺波インターから車で約20分。【泉質】塩化物泉

 船でしか行けない。

 小牧ダムから大牧までの30分間、船は水面を滑るように進む。甲板で感じる外気は冷たく、ずいぶん山奥に来たことを思わせる。50代とおぼしき女性がひと言、「この立地が魅力。ずっと来てみたかった」。あこがれの気持ち……。心地良さは、ここにあったか。

 1930年、近隣のダム建設に伴い、水没する湯治場を移設した。同時に庄川船舶が運航を開始。船で行く秘湯の誕生だ。平家の落人が見いだしたと伝えられ、河原を掘って地元の人が代々楽しんできた湯を、今は約20メートルの川底深くからくみ上げている。

 2、3年前まで、船は宿の前を旋回してから着岸した。水際に立つ建物の風情を存分に味わうためだったが、土砂の流入で川底が上がり、今は不可能に。

 紅葉の11月、薄氷張る2月が人気というが、「若葉の頃もいいですよ」と支配人の守屋勉さん(45)。改装なった建物は、清潔・快適で女性客の評判も上々だ。対し、「クマ、タヌキ、キツネに注意」という豊かな自然は変わらず。

 日が落ちる前に館を出て、敷地奥の石段を上る。視線を落とせば右手に川。露天風呂の更に先、庄川峡を見渡す野風呂を目指す。

 茂る木々を屋根にして、トロリとした透明な湯に肩までつかる。しばし、放心。眼下に横たわる青緑の流れに、ここまで運んでくれたことを感謝した。(ライター 堀雅子)

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 ●大牧温泉観光旅館 川を望む露天風呂と野風呂は女性用。男性用露天風呂は山に面している。1泊2食付き。1室2人利用、1人2万1150円から。12月31日〜1月3日は5000円増し。▼昼食付き日帰り入浴 1人7500円。行きは午前9時小牧ダム発、帰りは午後3時台大牧温泉発の船を利用。いずれも2人以上で要予約(TEL0763・82・0363)。

 ●庄川船舶 小牧ダム―大牧温泉の8.1キロを約30分で結ぶ遊覧船。通年運航。4日間有効の往復券は2800円、小学生1400円。問い合わせは関西電力 庄川船舶事務所(0763・82・0220)。

 ●井波別院 瑞泉寺 1390年建立。井波彫刻発祥の寺。参道にあたる八日町通りの町並み、特に木彫工房が見どころだ。近隣には「いなみ木彫りの里 創遊館」などの観光施設も。砺波インターから車で約15分。問い合わせは井波観光協会(0763・82・2539)。

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(2007年11月20日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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