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星降る里を訪ねて 濁河温泉(岐阜県)

2007年12月28日

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写真雪がやむと、温泉街の上空に満天の星空が広がった(長時間露光で撮影)写真雪の森と対話しながら入れる露天風呂=いずれも岐阜県下呂市で地図【所在地】岐阜県下呂市小坂町落合【交通】中央道中津川インターから車で約2時間半。下呂駅などから各宿の送迎バス。【泉質】硫酸塩泉、炭酸水素塩泉

 澄み渡る冬の星空は美しい。しかし星を眺めているうちに体も凍り付く。ならば露天風呂からゆるりと見物できないか。毎年12月半ば頃に現れる「ふたご座流星群」に合わせて飛騨路へ旅立った。

 濁河(にごりご)温泉は霊峰・御岳山の7合目に位置する。標高約1800メートルは、通年営業の温泉街としては日本屈指の高さだ。周囲に市街地がないため光害が極めて少なく、「星降る里」として知られる。

 山道をバスに2時間揺られ、たどり着くと御岳は厚い雲に覆われていた。日が暮れると、ご丁寧に雪まで降り出した。天候は最悪だ。宿自慢の天体望遠鏡も出る幕がない。露天風呂で一緒になった初老の男性は「2年前来た時はすごい星だったけど」とため息をつき、早々に部屋へ引き上げた。

 こうなれば根比べか。タオルが硬く凍る寒さだが、茶色く濁ったかけ流しの湯はよく温まる。待つこと数時間、視界の隅に明滅する光が浮かんだ。まもなく日付が変わる頃、「一番星」みーつけた。

 やがて脱衣場の明かりが落ちると、山あいの空は闇を探すのが難しいほどの星で埋まっていた。ほどなくオリオンの左に黄色い光が突然現れ、すっと流れた。せっかくなので願いをかける。「両親長命」「姪(めい)の受験合格」。ぶつぶつ唱えて、1時間に数個ほどの流れ星を待つ。次は「メタボ退散」か「ローン完済」かというところで、再び雲が広がり始めた。自分でなんとかせよという天の声か。

 星空を仰ぎ見る。吸い込まれそうな感覚に襲われて思わず浴槽深く身を沈めると、ほのかに鉄の香りが漂っていた。

(ライター・古沢範英 撮影・垣内博)

    ◇

●濁河温泉 江戸時代中期の開湯と伝わり、御岳自然休養林に囲まれた温泉地。屋上に口径310ミリの反射望遠鏡を備えた「旅館御岳」など旅館11軒が営業。冬季は休業する施設も。問い合わせは下呂市観光課(電話0576・24・2222)へ。

 市営露天風呂は4〜11月上旬まで利用できる。大人500円、小学生300円。

●小坂温泉郷 濁河と湯屋、下島の3湯をいう。

●濁河温泉スキー場 12月下旬〜3月下旬([前]9〜[後]4時)。雪の状態などによって休業も。電話0576・62・3373。

●御岳山登山 岐阜・長野県境にまたがる御岳山(3067メートル)は日本百名山の一つ。山開きは6月中旬で、登山シーズンのピークは8月ごろ。濁河温泉から頂上の御岳神社まで約6.5キロ。

●県御嶽少年自然の家 登山やスキーなどの自然体験学習の活動拠点。電話0576・62・3655。

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(2007年12月25日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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