湯に入ると、独特のぬめり感があって、肌がテカテカ光る=嬉野市の大正屋椎葉山荘「しいばの湯」で
【所在地】嬉野市嬉野町【交通】福岡市から車で長崎道経由で1時間30分。武雄温泉駅からバスで30分。長崎市から車で50分。【泉質】炭酸水素塩泉
湯豆腐にも表情があるのか? とろける温泉湯豆腐で有名な嬉野温泉関係者からそう聞いて、半信半疑で何軒か店を回ってみた。
食事処志津の湯豆腐には豚肉、白菜、しめじ、春菊がたっぷり。それをしょうがじょうゆにつけて食べる。老舗(しにせ)旅館大正屋では基本的に朝食として出す。薬味は削り節、小ネギ、しょうが。こちらはゴマじょうゆで。酒を飲んだ翌朝の体にやさしそうだ。宗庵よこ長のは鰹節(かつおぶし)と小ネギを鍋に入れるだけ。湯汁に味がついてるのでそのままどうぞの説明通り、すくって食べてみる。とろけた豆腐と湯汁の熱さがじんわり広がり、体中の毛穴が一気に開く。
長崎市から宗庵よこ長に湯豆腐を食べにきた主婦吉田真知子さん(58)は「今回が2回目。正月に食べ過ぎて胃がもたれていたので湯豆腐がおなかにちょうどいい」。
なるほど、店によってタレや汁に工夫が施され、様々な味の表情をつくっている。
そして肝心なのが豆腐のとろけ具合。アルカリ性の湯で煮ると溶ける豆腐の性質を生かしているわけだが、湯豆腐を長年研究している嬉野温泉旅館組合理事長の山口保さん(66)によると、ここの泉源は炭酸水素ナトリウムと炭酸水素イオンのバランスが絶妙で、二つのバランスが少しでも崩れると、豆腐が溶けすぎたり、味が苦くなったりするのだそうだ。
嬉野は歓楽地というイメージが強かったが「若い人から中高年まで女性客が増えてきた」(山口さん)。文字通り、女性が喜ぶ温泉へと今、変身中なのである。
(文 佐藤太郎・写真 比田勝大直)
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●嬉野温泉 「日本三大美肌の湯」として売り出している九州でも有数の温泉街△湯遊チケット 日帰り入浴が可能な26施設で使える。10枚つづり、1200円で、1施設に3〜7枚必要。
●温泉湯豆腐 旧嬉野町史にも載っているほど、嬉野温泉とは切っても切り離せない食べ物。一説には江戸時代から宿場町として栄えた同温泉に来た旅人を湯豆腐でもてなしたともされる。旅館はもちろん、割烹やすし屋、カラオケスナックでも湯豆腐が食べられる。湯豆腐とともに有名なのがうれし野茶の生産で、お茶屋さんも多い。
●湯豆腐フェスタ 嬉野温泉秋まつり産業祭の一環として行われる一大イベント。昨年は芸者さんが湯豆腐をふるまったり「とうふ大食い選手権」なども行われた。問い合わせは電話嬉野温泉観光協会(0954・43・0137)。