現在位置:asahi.com>トラベル>よくばり湯の旅> 記事
屋久島の森でひと汗かいて 平内海中温泉(鹿児島県)2008年03月14日 ぐるぐるぐる。人間関係や仕事の悩みは尽きない。「空っぽになるために屋久島に行ってきた」という記事を見た。私もリセットできるかな、できたらいいな。そんな期待を抱きつつ、東京から飛行機を乗り継いで約3時間、世界自然遺産の島に着いた。
島の面積は約500平方キロ。年間20万人の観光客が訪れる。県道沿いには学校やコンビニもある。 宮崎駿監督の映画「もののけ姫」のモデルとされるコケの森「白谷雲水峡」をガイドと歩いた。1人もいいけれど、島の成り立ちや木々の生き様を教わるのも楽しい。 屋久島は花崗岩(かこうがん)が盛り上がってできた岩の島。だから、土の層が薄い。下を向いて歩くと、ところせましと木の根が張っている。まさに地面の陣取り合戦。空を見上げると葉が生い茂り、光を奪い合う空中戦。自分の力で、大きくなるしかないんだな。 スギの寿命は通常数百年。しかし、屋久島には1000年を超えるスギが何本もある。薄い土の層から少しずつ栄養をもらい、時間をかけて大きくなる。先を急がず、ゆっくりゆっくりと。 散策後、干潮を挟んで4時間だけ姿を現す平内海中温泉へ。ちょうど安藤修二さん(58)夫妻ら地元の人が、湯船からのりをはがす掃除をしていた。「入っていいですよ〜」。そう言われたものの、更衣室も岩陰もない。「仕事のためだ」と意を決して服を脱ぎ、岩をくりぬいた湯船につかった。ザザ、ザザーンと波の合唱に、磯の香り。お湯は約40度。「ありがたいね、人間にちょうどいい温度だ」と掃除を終えた男性が言った。井戸端会議もまた、魅力なり。 自然に抱きしめられたような1日。きっと今、いい顔しているだろうな。 (ライター・秋山幸子 撮影・上田頴人) ●平内海中温泉 入浴時は干潮時間の確認を。屋久島観光協会のホームページでも調べられる(TEL0997・49・4010、http://www1.ocn.ne.jp/~yakukan)。足湯や水着、下着での入浴は不可。女性はバスタオルを巻ける。100円(清掃協力金)。島内にはこのほか、海岸に掘られた露天風呂「湯泊温泉」や玉石を敷いた浴槽の底から湯のわく「尾之間温泉」などもある。 ●白谷雲水峡 縄文杉登山は往復約10時間の道のり。白谷雲水峡は1〜5時間の散策コースがあり、体力に自信がない人も気軽に屋久杉の原生林を楽しめる。高校生以上300円(協力金)。 ●屋久島たんかん ミカン類とオレンジの交配種。ビタミンCは温州ミカンの約2倍といわれる。濃厚な甘さで「東洋の名果」と呼ばれている。果汁たっぷり。湯上がりののどを潤してくれる。2〜3月に収穫。 ◇ (2008年3月11日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください) この記事の関連情報よくばり湯の旅 バックナンバー
|