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「坊っちゃん」も入ったぞなもし 道後温泉(愛媛県)2008年04月11日 ごとんと云って飛行機がとまると、ハイカラ頭の客室マドンナがおれに向かって言った。「松山空港に着いたぞなもし」
もちろんそんなわけはないが、気分はすでに夏目漱石の「坊っちゃん」。目指すは道後温泉。空港内のポスターが「ようおいでたなもし」と歓迎してくれる。 もっともこの「なもし」言葉、近年ほとんど使われないそうだ。ちょっとさびしいぞなもし。 坊っちゃん列車で道後へ。 「道後温泉本館」がすごい。木造の三層楼は国の重要文化財。明治二七(1894)年、城大工の手で建てられたという。翌年、松山中学の教師として漱石が赴任してきた。 小説の中の「坊っちゃん」は、温泉本館の「上等」を好んだ。「おれはいつでも上等へ這入った」と威張っている。そういうことならと1500円を奮発して、その「上等=霊の湯三階個室」へ。障子には雪見窓。床の間に書が飾ってある。 湯から上がると、お茶と坊っちゃん団子が運ばれた。外は湯の町のざわめき。春の風。浴衣で畳に大の字になって、う〜ん、この部屋に住んでしまいたい。 「坊っちゃん」は松山と松山人についてボロクソだ。でも松山の人は「坊っちゃん」と漱石が大好き。「あれだけポンポン言われたら逆に気持ちがええですもの」と初老のタクシー運転手さんが笑う。それに漱石さんは松山の誇り・正岡子規の友だちでしたから、と。 この町では、明治という時代がとても近く感じられる。 (ライター・宮本貢) ●道後温泉 3千年の歴史があるとされ、日本最古の温泉とも言われる。稼働する17の源泉を市が管理し、外湯や各旅館に配湯している。 ●道後温泉本館 広々とした「神の湯」、こぢんまりとした「霊の湯」の二つの浴室、個室を含む三つの休憩所がある公衆浴場。400円〜1500円。入浴後、浴衣に着替えお茶とお菓子を味わいながら休憩できるコースも。午前6時、一番風呂を知らせる太鼓が打ち鳴らされる。午前6時〜午後10時(一部11時まで)。問い合わせは事務所(089・921・5141) ●坊っちゃん列車 1888(明治21)〜1954(昭和29)年に市内を走っていた蒸気機関車を復元した路面電車。市中心部と道後温泉間を結ぶ。300円、小学生200円。問い合わせは伊予鉄道(089・948・3323)。 ●「なもし」 愛媛の方言で、「な+申す」が転化した敬語表現。「ございます」の意。 ◇ (2008年4月8日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください) よくばり湯の旅 バックナンバー
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