川の上を泳ぐこいのぼり
足湯は誰でも無料で使用できる=小国町、比田勝大直撮影
【所在地】小国町下城【交通】福岡空港から九州道経由、大分道日田インターから約30分。福岡空港から直行バスも(約2時間半)。【泉質】塩化物泉
新緑の風がさわやかな杖立(つえたて)川の上を、3500もの色鮮やかなこいのぼりが悠然と泳ぐ。両側の狭い傾斜地に旅館や家屋が張りつく杖立温泉街。「昭和」の風情が残る街並みと、ゆらりと立ち上る湯煙が、都会から来た人の心を和ませる。
肩を寄せ合うように家屋がひしめく。軒先でこいのぼりも揚げられないほどだ。両岸に渡したロープにこいのぼりをつるす風習は、昔の人の知恵だった。
名物は「蒸し湯(風呂)」。豊富な湯量と98度以上の源泉から、地元では「風邪をひいたらまず蒸し湯」と言い伝えられてきた。点在する共同の「蒸し場」では、今も地元の人たちが野菜やおでん、カレーなどを煮炊きする。
「ニワトリを丸ごと2時間入れておけば、骨まで溶けて柔らかく蒸し上がる。お年寄りにも喜ばれます」。同観光協会長の河津征四郎さん(67)は子どもの頃、ジャガイモをタオルにくるみ、「地獄」と呼ばれる蒸し場につけた。30分ほどで柔らかなふかしイモになったという。
私も生卵を一つ、蒸し場にコトン。待つこと15分。塩分が付着してほのかに茶色くなった殻をむき、パクリ。ほくほくの甘い食感が口に広がった。
温泉街を望む下流のもみじ橋。「願いがかなう橋」といわれ、絵馬ならぬ「絵ゴイ」がずらり並ぶ。広島から家族6人で来たという5歳の女の子が、絵ゴイに何かを夢中で描いていた。のぞくと、弟と2人の絵。湯につかる前から、心がふわり温かくなった。
(文・本間朋子)
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●杖立温泉 昔から湯治目的で長期滞在する人が多く、1泊2食付き5千円〜と安め。各旅館で立ち寄り湯や外湯も。
みちくさ案内 「背戸屋(せどや)」という路地裏を地元ガイドとめぐる。午前10時半と午後2時。500円(蒸し卵、タオル付き)。要予約。
●鯉(こい)のぼり祭り 5月6日(火・休)まで。全国のボランティアが、揚げるのを手伝った。夜間ライトアップも。
●願いがかなう絵ごい もみじ橋たもとの、ふるや工房前で販売(200円)。同工房の主人が小国杉で手づくりし、ハート形や長方形なども。
●杖立プリン かつて杖立で作られていた、ちゃわん蒸しに砂糖を加えた「甘玉子」をヒントに、旅館など19カ所で餡(あん)プリンや揚げプリン、ほうじ茶プリンなどが食べられる。
問い合わせは杖立温泉観光協会(0967・48・0206)。
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(2008年4月15日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)