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「音浴」にひたる千人風呂 酸ヶ湯温泉(青森県)

2009年1月9日10時29分

写真:雪が降り積もる朝の酸ヶ湯温泉雪が降り積もる朝の酸ヶ湯温泉

写真:法被姿で横笛を吹く田澤利生さん=青森市法被姿で横笛を吹く田澤利生さん=青森市

地図:【所在地】青森市八甲田山【交通】車で、青森空港から約1時間、東北道青森中央インターから約40分。青森駅からバスで約1時間10分。【泉質】硫黄泉
【所在地】青森市八甲田山【交通】車で、青森空港から約1時間、東北道青森中央インターから約40分。青森駅からバスで約1時間10分。【泉質】硫黄泉

 さらさらのきめ細かな雪が舞う八甲田山の中腹、酸ケ湯(すかゆ)温泉。160畳分の広さで知られる「千人風呂」の湯煙は灯明にぼんやりと照らされ、幻想的な雰囲気に包まれている。

 横笛のお囃子(はやし)が聞こえてきた。「混浴を守る会」会員の田澤利生さん(35)がしっとりと奏でるのは「ねぶた囃子」「りんご追分」「涙そうそう」……。手拍子を打ち、ハミングする湯客たちから笑みがこぼれる。足元からわく「熱湯(ねつのゆ)」では、女性客たちが「裸でなかったら、跳ねてえさあ」と身を乗り出した。

 酸ケ湯では昭和30年代まで、「鹿内仙人」の愛称で親しまれた名物社員の鹿内辰五郎さんが横笛や尺八を奏でた。それにつられて津軽民謡の歌声も響き、湯治客や旅人の疲れを癒やした。だが民謡を知らない世代が増えたこともあり、鹿内さんの死後、そんな光景は途絶えた。

 一方、混浴の代表格ともいわれる酸ケ湯でさえ、「混浴は入りづらい」という女性客が目立つ昨今。対策を考えあぐねていたが、逢坂光夫相談役(74)が昔の思い出を語っていると、社内で妙案が浮かんだ。「横笛や詩吟などの伝統音楽でリラックスすれば、女性も混浴を楽しめるのではないか」

 演奏者を募ったところ、アマチュアの田澤さんらが手を挙げた。昨年11月から月1、2回、生演奏が披露されている。

 幻想的な雰囲気の大浴場で、音楽に聴きほれる「音浴」のひと時。北国の長い冬に疲れた心と体を温めてくれるに違いない。

(ライター・野澤あおい、撮影・小松ひとみ)

    ◇

 ●酸ケ湯温泉 十和田八幡平国立公園の北部、標高925メートルにある一軒宿。ペパーミントグリーン色の白濁した6種類の源泉を持つ湯治旅館。1泊2食付き湯治部7500円から、旅館部9600円から。

 ▼日帰り入浴 午前7時〜午後5時半。600円、小学生300円。

 ●ヒバ千人風呂 くぎを使わず青森ヒバで造った混浴の大浴場。5つの浴槽があり、泉質の特徴によって「四分六分(しぶろくぶ)」、「冷(ひえ)の湯」などと呼ばれる。午前、午後8〜9時は女性専用。

 ●混浴を守る会 320年以上続く酸ケ湯の混浴文化を守ろうと05年4月に発足。会員は9618人(5日現在)。

 ●バックカントリーツアー 八甲田の山岳地帯で、樹氷や林間、大斜面などをベテランガイドと共に歩く。3500円から。12月下旬〜5月中旬まで。

 【問い合わせ】酸ケ湯温泉(017・738・6400)。

    ◇

(2009年1月6日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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