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「地の果て」のぜいたく 羅臼温泉(北海道)

2009年7月24日10時19分

写真:「熊の湯」の湯は青白い。約1年前まで透明だったのが変化しているという=羅臼町
「熊の湯」の湯は青白い。約1年前まで透明だったのが変化しているという=羅臼町

写真:羅臼岳のふもとで草をほおばるエゾシカ=斜里町、野口隆史撮影羅臼岳のふもとで草をほおばるエゾシカ=斜里町、野口隆史撮影

地図:【所在地】羅臼町湯ノ沢町【交通】中標津空港から、車で約1時間20分。バスで羅臼営業所まで約1時間40分(中標津町内で乗り換え)、そこから徒歩約20分。【泉質】硫黄泉
【所在地】羅臼町湯ノ沢町【交通】中標津空港から、車で約1時間20分。バスで羅臼営業所まで約1時間40分(中標津町内で乗り換え)、そこから徒歩約20分。【泉質】硫黄泉

 ここは知床。アイヌ語で「シリエトク(地の果て)」。羅臼岳のすそ野に広がる森は、短い夏の光を浴び、緑濃く茂る。その奥でヒグマがうごめき、鳥たちは声を弾ませる。

 朝5時すぎ、エゾシカが人里にひょっこり顔を出した。「熊の湯愛好会」会長の太田久信さん(71)の一日が始まる。

 羅臼温泉「熊の湯」は、ヒグマが現れても不思議はない、世界自然遺産の大自然にたたずむ露天風呂。「北海道らしい秘湯」を求めて、夏の多い日には千人が訪れる。愛好会メンバーの清掃ボランティアは欠かせない。

 太田さんも25年間、清掃に励んできた。大雨の日も、大雪の日も。岩風呂の湯を抜き、デッキブラシで湯船や床を磨き、清潔な湯がたまるまで1時間半。「夏のコンブ干しで疲れた体を湯に浸すと、また元気になるんだよ」。何ともぜいたくに、ざぶんと「一番風呂」に入るのが何よりの楽しみという。

 一番風呂に私も浸(つ)かる。でも、30秒も我慢できない。湯温が45度以上あるという。困っていると、地元の女性が教えてくれた。「出たり入ったりを繰り返すと、慣れてくるよ」。試すと、心地よさが肌にじんわり、ほんわり。

 女性は、オホーツク海の冷たい風を受けながら働く「浜の母ちゃん」。「私らにはこの熱さがちょうどいい」とほほ笑んだ。

 頭上を仰ぐと、樹木がみずみずしい枝葉を広げていた。澄んだ空気に溶け込むように、湯煙が舞い上がった。(上原理恵)

    ◇

●羅臼温泉 羅臼岳のふもとに3軒の温泉宿がある△熊の湯 湯船、脱衣所は男女別で、女湯は塀で囲まれている。地元の「熊の湯愛好会」(約150人)が管理・運営する。入浴料は寸志。[前]5時すぎ〜7時の清掃時間以外は入浴可。電話町環境管理課(0153・87・2126)。

●知床 世界自然遺産に05年登録。羅臼、斜里両町にまたがる知床半島の一部と、その沿岸の海域が対象。シマフクロウやオジロワシ、オオワシなどの希少動物が生息する。最高峰は標高1661メートルの羅臼岳。羅臼ビジターセンター(電話0153・87・2828)では、パネルや動物のはく製の展示、映像上映などで知床の自然を紹介している。

●クジラ・イルカ・バードウオッチング 羅臼港からクルーザーで沖合へ。季節や状況によりクジラやシャチ、海鳥などを観察できる。5〜10月の毎日[前]9時、[後]1時。所要約2時間半。要予約。8000円、3歳〜小学生4000円。電話知床ネイチャークルーズ(0153・87・4001)。

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(2009年7月21日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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