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丸山千枚田を訪ねて 湯ノ口温泉(三重県)

2009年10月2日11時33分

写真:山霧にかすむ丸山千枚田
山霧にかすむ丸山千枚田

写真:湯ノ口温泉の露天風呂=熊野市湯ノ口温泉の露天風呂=熊野市

図:【所在地】熊野市紀和町湯ノ口【交通】伊勢道紀勢大内山インターから約2時間。JR紀勢線熊野市駅から車またはバスで約50分。【泉質】塩化物泉
【所在地】熊野市紀和町湯ノ口【交通】伊勢道紀勢大内山インターから約2時間。JR紀勢線熊野市駅から車またはバスで約50分。【泉質】塩化物泉

 白い霧がたれこめる熊野の山並みをいくつも越えて、細い林道へ。途中、木立がとぎれたと思ったら、目の前に棚田が現れた。山腹に1340枚もの田んぼが段々と連なる「丸山千枚田」。波打つような曲線を思わず指でなぞりたくなる。一目で心を奪われた。

 「田んぼはしょっちゅう見て回らんと」。収穫を終えようとしている棚田で、丸山千枚田保存会の奥斉(ひとし)会長(71)の話を聞いた。代々続く伝統的な田んぼ作りをしているため、あぜや石垣の管理が日々欠かせない。一枚一枚が小さく、機械も入れづらい。稲の収穫も大半が手鎌と聞いて驚くが、「昔の田んぼ作りは体ひとつ。ちっちゃいのが沢山(たくさん)の方が楽やったかもしれん」。目から鱗(うろこ)が落ちた。

 丸山千枚田は、一時、約500枚まで減った。今の姿は、1993年に始まった復興作業のたまものだ。どう維持・管理していくかは今後も大きな課題となる。支援策の一つに「丸山千枚田オーナー制度」がある。土や汗にまみれて作業すれば、誰もが気心知れる。奥会長は「そんな『裸足のつきあい』が棚田を守る意気込みにつながる」。

 丸山地区から車で約20分、湯ノ口温泉の湯は、農作業の疲れが取れると評判だ。湯船で、はつらつとした地元の70代女性が言う。「毎日の疲れ取らな病気になる」。棚田も、手をかけないと荒れるのが早いという。何百年もの間、毎日、誰かが目を配り続けて来たからこそ、あんなに美しく見えるのだろう。

(文・上林千紗子 撮影・垣内博)

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●湯元山荘 湯ノ口温泉 一軒宿。紀州鉱山の閉山後、跡地に源泉を発掘して1979(昭和54)年から営業。湯量が豊富で源泉かけ流し。湯治の利用も好評。素泊まり1泊6000円から。日帰り入浴400円([前]9時〜[後]9時)。(0597・97・1126)△近くの入鹿温泉までは、鉱山時代のトロッコで10分で行き来できる。一軒宿の瀞(せい)流荘1泊2食付き1万円から。日帰り入浴600円([前]10時〜[後]9時)。食堂では熊野地鶏の料理も。(0597・97・1180)。

●丸山千枚田オーナー制度 今年は139組が参加。田植え、稲刈りの農作業体験ができる。新米15キロと特産品の発送や温泉入浴の割引などの特典付き。1口約100平方メートルで3万円(1年契約、10人まで参加可)△千枚田の新米は、10月上旬から販売予定。5キロ2500円から(送料別)。電話紀和町ふるさと公社(0597・97・0640)。

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(2009年9月29日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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