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温泉の神様が見つけた古湯へ 玉造温泉(島根県)

2009年10月9日10時9分

写真:玉造りの里を誇るように架かる「勾玉橋」玉造りの里を誇るように架かる「勾玉橋」

写真:「湯之助の宿 長楽園」の露天風呂=松江市玉湯町「湯之助の宿 長楽園」の露天風呂=松江市玉湯町

地図:【所在地】松江市玉湯町【交通】出雲空港から車で約40分。最寄りのJR玉造温泉駅からバスで約10分。山陰道松江玉造インターから約10分。【泉質】硫酸塩泉、塩化物泉【所在地】松江市玉湯町【交通】出雲空港から車で約40分。最寄りのJR玉造温泉駅からバスで約10分。山陰道松江玉造インターから約10分。【泉質】硫酸塩泉、塩化物泉

 旧暦の10月は、出雲地方では「神在月(かみありづき)」。この季節、全国の神々が集まるように、人々もまた出雲を訪れる。数ある神社を訪ねる「開運スポット巡り」のツアーもあるほどだ。

 玉造温泉は、温泉の神様、少彦名命(すくなひこなのみこと)が見つけたとされる。宍道湖に注ぐ玉湯川の両岸に連なる温泉街には歓楽施設もなく、折り目正しい雰囲気が漂う。

 上流側の玉作湯(たまつくりゆ)神社では、埼玉県から来た30代の女性が、触れながら祈ると願いがかなうという「願い石」をなでていた。「友人がお参りして、よいご縁があったので私もぜひ」。触る手に願いがこもる。私もそっとひとなで。にわか信心で欲深いとしかられないか、作法に粗相はないかと気にかかる。「出雲の神様の優しいお心で、どんな願いもその人のためになる方向に導いて下さいますよ」。禰宜の遠藤孝男さん(58)の話し方は実に優しい。静かな気持ちで鳥居を出て、一礼。柔らかな夕日が差し込み、流れる川は金色に輝いていた。

 周辺は古来、玉作りの里だった。ぷっくりとした独特の形の勾玉(まがたま)は邪気を除ける霊力を持つと考えられていた。山からメノウを切り出し、なめらかに磨くのは重労働。疲れをいやす不思議な湯に、職人たちが神のわざをみたのも無理はない。

 老舗(しにせ)の宿でたっぷりの湯に身を浸す。透明で刺激がない湯は、山陰の風土と同じく穏やかで優しい。神様はすぐ隣に。そんな気になりほっと息をついた。

(文・猪俣千恵 撮影・渡辺瑞男 )

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●玉造温泉 奈良時代にまとめられた「出雲国風土記」では美肌と癒やしの「神湯」と書かれた山陰屈指の古湯。玉湯川を挟み約20軒の旅館が並ぶ。松江、出雲地域の観光拠点としても人気。出雲大社までは車で約50分。問い合わせは松江観光協会玉造温泉支部(0852・62・3300)。

 ▼「湯之助の宿 長楽園」は、江戸時代に松江藩から玉造温泉の浴場を仕切る「湯之助」という役職を与えられていた旅館。約120坪の混浴露天風呂は源泉100%。問い合わせは0120・620171。

●玉作湯神社 「出雲国風土記」にも記されている神社。玉作りの神、櫛明玉命(くしあかるだまのみこと)と国造りと温泉の神、大名持命(おおなもちのみこと)、少彦名命がまつられている。背後の花仙山は良質な赤メノウや碧玉(へきぎょく)が産出され、境内は玉作跡として国の指定史跡になっている。問い合わせは0852・62・0006。

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(2009年10月6日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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