現在位置:
  1. asahi.com
  2. ライフ
  3. トラベル
  4. よくばり湯の旅
  5. 記事

風が導く三原山と大海原 大島温泉(東京都)

2009年11月13日11時3分

写真:火口一周道路から見下ろす=東京都大島町火口一周道路から見下ろす=東京都大島町

写真:「空、雲、海の色が毎日違うのよ」と地元の女性=東京都大島町「空、雲、海の色が毎日違うのよ」と地元の女性=東京都大島町

地図:【所在地】 大島町元町【交通】 大島へは、東京・竹芝桟橋から大型船(夜行)で約8時間、高速船で約1時間45分。羽田空港から大島空港まで約35分、調布飛行場から大島空港まで約25分。【泉質】 塩化物泉【所在地】 大島町元町【交通】 大島へは、東京・竹芝桟橋から大型船(夜行)で約8時間、高速船で約1時間45分。羽田空港から大島空港まで約35分、調布飛行場から大島空港まで約25分。【泉質】 塩化物泉

 東京・竹芝から南へ約120キロ、夜行船で約8時間。伊豆大島へ降り立ち、目指すは三原山。86年11月の大噴火から23年になる。朝の風は穏やかで、後々「風まかせ」の旅になるとは想像だにしなかった。

 外輪山の山頂口から歩き始める。濃い霧に阻まれ、山頂どころか稜線(りょう・せん)もかすみ、火口が見えるのか不安がよぎる。遊歩道わきの溶岩が黒から赤褐色へ変わり、40分ほどで山の神をまつるという三原神社へ。「火口が見られますように」と祈った。

 火口一周のお鉢巡りでも、霧が目の前をふさぎ続ける。湿った冷風にさらされ待つこと1時間。火口の縁(へり)を、風に吹かれた霧が駆け上がった。一気に視界が開け、直径約350メートル、深さ約200メートルの巨大な火口が姿を現す。声も体も吸い込まれそうだ。底や側面から白い噴気が立ち昇る。風が雲を飛ばし、光が当たり赤褐色を鮮やかにする。

 山頂口で御神火茶屋を営む高木志朗さん(47)。「噴火の恐怖より、後の生活の方が大変で強烈に覚えています。噴火や地震、台風。自然と共生するのが大島での生き方です」と話す。

 夕暮れ時。噴火でわいた源泉をひくという元町浜の湯に、常連客が集う。透明でにおいがほとんどない、つるりとした湯だ。ほぼ無風の静かな海。夕日はするすると沈み、伊豆半島のシルエットが浮かんだ。

 通常の出港は元町からだが、海や風の状況で岡田になる。風の導きで、帰りは岡田から高速船に乗り込んだ。

(文・小松綾子 撮影・上田頴人)

    ◇

 ●大島温泉 元町浜の湯 男女混浴で水着着用の公共の温泉。内湯はなく、男女別の更衣室にシャワーがある。元町港から徒歩3分。400円([後]1時〜7時、7月、8月は[前]11時〜)。

 ●三原山 標高758メートル、「御神火様」とも呼ばれる。86年11月の大噴火の際には、島民約1万人が島外へ脱出、約1カ月の避難生活を送った。98年5月に火口一周道路(お鉢巡りコース)が開通。気象庁によると、伊豆大島は、火山活動評価では5段階の噴火警戒レベルで最も低い1(平常)という(09年10月現在)。

 いずれも問い合わせは電話大島町役場観光商工課(04992・2・1446)。

 ●伊豆大島火山博物館 三原山や世界の火山について、映像や写真、溶岩などの資料で紹介する。500円([前]9時〜[後]5時、入館は30分前まで)。電話04992・2・4103。

    ◇

(2009年11月10日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内