若田さんのトリビア!
2009年4月17日
実は、「きぼう」のほかにも日本製の有人宇宙施設が作られたことをご存じですか?
その名は「セントリフュージ」。全長9メートル、直径4.5メートルの大きさで、国際宇宙ステーション(ISS)に取り付ける予定でした。スペースシャトルで「きぼう」を打ち上げてもらう見返りとして、日本から米国に提供する予定でしたが、ISS計画の縮小にともなって05年に開発が中止されました。
この施設が日の目を見なかったことは、生命科学の研究上、大きな損失と言えるでしょう。なぜかというと、せっかく宇宙まで行って実験しても、その精度が低くなってしまうからです。
宇宙で動植物の実験をする時、そのままでは無重量と宇宙放射線の影響を同時に受けます。例えば、マウスの成長が地上と異なったとしても、どちらの影響によるのか分かりません。この場合、とても単純化して説明すると(1)のグループはそのまま(無重量)の飼育箱、(2)のグループは月と同じ重力(地上の6分の1)を与えた飼育箱に入れて観察し、両グループの変化に統計学的な違いがあれば、「重力の違いが影響している」と考えることができます。
こうした実験はISSならではのもの。若田さんが滞在中、小型の装置でカエルの細胞を使った実験は予定されていますが、セントリフュージが実現していれば、より本格的な実験ができ、老化やがんのメカニズムの解明につながったかも知れません。
今、セントリフュージはJAXAの筑波宇宙センターで、ひっそりと展示されています。足を運ぶ機会があったら、ぜひ見学して下さい。(高山裕喜)