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嗚小小一碗茶

プーアル茶ブーム到来か(上)

中国茶評論家・工藤佳治

――このお茶で「本当にヤセられる?」

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 日本で中国茶のお話しをすると、必ずと言ってよいほど出る質問がある。

 「プーアル茶で痩せられますか?」。

 お茶と健康の話は、極力しないようにしている。でも、皆さんの関心は強い。なぜ避けているかというと、たとえ効力があるとしても「効く人」と「効かない人」がいて、専門家でない私は、その判断をすべきではないと考えるからである。

 「お茶を食べているおいしい豚」など、「お茶と健康」のエピソードは、いずれここで書くこととして、よくある質問への答えは決まっている。「プーアル茶でヤセられるかどうかは、香港に行ってみるとわかります。香港に太っている人はいませんか?」。

 この答えにあるように、プーアル茶は香港の人たちが、日常飲んでいるお茶である。香港のレストランで出されるお茶も、普通はプーアル茶である。極端に言えば、朝から晩まで彼らは、プーアル茶を飲んでいる。そして、香港にはヤセている人ばかりでなく、太っている人もいる。日本で言われる「ヤセる」根拠になるようなことを香港人は以前から言っていた。「プーアル茶は、食事の脂分を流し出してしまうんだ」と。

 香港の高級レストランに行き、「白灼蝦(海水と真水が交じるところのエビを蒸して、殻をむきながら、調合した醤油をつけて食べる)」を食べると、手が汚れるのでフィンガーボールが出てくる。香港の場合、その中はお湯ではなくプーアル茶が多い。指を洗うと、指についていた脂分が、サーと散ってゆき、なくなってしまうのがわかる。たしかに、脂分を流し出すというのもうなずける。でも、太っている人はいるのである。

 このプーアル茶、産地は雲南省だ。「カビくさい」独特の香りと、お茶の中で、古ければ古いほど価値が高まる、いわばワインのヴィンテージものみたいなお茶である。もともとは、緑茶を固めたりしたお茶であったが、雲南から輸出積み出し港であった香港に向け輸送されている間に、雨に当たったのか、菌が作用してカビのような臭いになってしまったのである。現在では、緑茶を作ったあと、高温多湿のところで菌の作用をさせ、乾燥させて寝かせ、数年ののち出荷される。

 不思議である。中華料理でいえば、最も京料理にちかい、淡泊な広東料理。その淡泊な味を追求する香港の人たちが、なぜこの「臭い」お茶が好きになったのか。納得のゆく説明はないが、ともかく彼らの日常のお茶となった。 この「臭い」のせいか、プーアル茶はほとんど香港以外の中国では飲まれていなかった。そこに異変が起きてきている。いままで「臭い」と言って敬遠していた人たちが、飲み始め、しかもブームの兆しすらある。

 次回は、この続きを。

(05/24)



中国茶メモ


雲南普●茶(ウンナンプーアルチャ) ●=さんずいに「耳」


 雲南省南部一帯を中心に産する。「プーアル」は中国語読み。「普●」は、南部にある地名で、集積地であった。従来のお茶の分け方でいえば、後発酵のお茶として「黒茶」に分類されていたが、菌を作用させずに「緑茶」をそのまま寝かせるもの(「生茶」という)も再生してきているので、分類としてはあいまいな存在になってきている。

 プーアル茶の中で、いろいろのものがあるので整理すると、まず製法で2区分ある。「生茶」と「熟茶」(製造途中に菌を発生させ、発酵させる。詳しくは、次回の本文を参照)。

それと、茶葉の形状でまず大きく2つに分かれ、「散茶」と「固形茶」。「散茶」は、通常私たちが飲む葉がバラバラの状態のお茶。「固形茶」は、固めたお茶で、「緊縮茶」「圧縮茶」などの呼び方もある。そして、「固形茶」が形状として代表的に3つに分かれる。円盤状になった「餅茶(へいちゃ・「茶餅」とも呼ぶ)」、お碗状になった「沱茶(だちゃ)」、レンガ状になった「磚茶(せんちゃ)」。

 磚茶の中には、長方体だけではなく、正四角形もあり、その場合は「方茶」と呼ぶこともある。




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