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嗚小小一碗茶

緑茶に砂糖をいれて飲む。「信じられない!」

中国茶評論家・工藤佳治

――中国茶ペットボトル飲料事情

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 思わず「気持ち悪い!」という声が聞こえてきそうである。中国茶、とくに緑茶にもし砂糖が入っていたとすると。当然甘い。旨味の甘さではない。砂糖の甘さである。

 こう想像するだけでも気持ち悪くなりそうで信じられないことが、実際に中国では10年も前から起きている。ごく普通のこと、当たり前のことである。

 前からお話ししているように、中国でお茶は基本的には何もいれないで飲む。中国紅茶にも砂糖をいれることはない。後味が十分甘く、その必要がない。だから、誰も何もいれない。

 ところが、ペットボトルのお茶となると、事情は一変する。

 中国で、お茶のペットボトルが最初に出たのは、記憶が正しければ10年弱前、上海でサントリーが合弁で「烏龍茶」の中国版を発売した。それに続いて、中国コカ・コーラが「ジャスミン茶」を出した。そこから雪崩の如く、お茶飲料だけではなく、ジュースなどの果実系も含め、「ありとあらゆる」ペットボトル飲料が登場して、現在に至っている。

 その中には、日本で売上げ好調な緑茶の中国版ペットボトルもある。「龍井茶」などの中国緑茶の飲料をおしのけて、緑茶ペットボトルでは、日本勢がかなり優勢である。

 中国でペットボトル飲料が一般化する前、日本に来た中国人留学生の多くは、あるカルチャーショックを受けていた。故郷で「一晩おいたお茶は毒だ」、「冷たいお茶は身体を冷やすのでよくない」と言われて育った。でも、日本に来てみると、その「毒」とまでいわれたものが、街角にあふれかえった自動販売機で、堂々と売られている。しかも、みんなが手軽に買って飲んでいる。「不思議だ」、「しばらくは怖くて買えなかった」という人もいた。

 ここ10年で、彼らの飲み物に対する行動も変わった。最初は、ペットボトルも冷たくない常温が多かったが、最近ではしっかり冷たいものも好まれるようになった。

 中国に来た日本人観光客が、「日本と同じペットボトル入りのお茶がある」と買い、一口飲んで「ウェッ」と顔をしかめる光景をよく見る。そこには、思いもかけない、甘さ……。予想外な味に戸惑うことになる。

 中国で販売されているペットボトル入りのお茶飲料のほとんどは、砂糖入りと砂糖なしと2種類で売られている。スタートを切ったサントリー「烏龍茶」も、2種類で定着した。どうしてそうなったかは定かではないが、その伏線はそれ以前に台湾で経験したことがある。

 紙パック入りのプーアル茶が売られていたが、それを飲んで、「ウェッ」となった。砂糖入りであった。

さすがに日本人の多くは、砂糖入りの緑茶には馴染まないようである。ちなみに、ジュースなどのペットボトル飲料も、概して甘味が強い。それが、今の中国人には好まれていることは事実である。

 付け足しになるが、緑茶に砂糖、ミルクを入れて飲むことは、ヨーロッパでは今でも行われていると聞く。現在のヨーロッパは、健康ブームにものって、中国緑茶がまた飲まれ始めているという。古き昔と同じ、少し燻(いぶ)した香りのするものが評判がよいという。このスモークした緑茶が、日本人の嗜好には、なかなか合わない。それに砂糖、ミルクが入ると「絶望的」ともいえる。

 民族や生活文化の中で、嗜好の違いは、おもしろいとも言える。

 次回は「たびたび変わる、紅茶誕生のエピソード」のお話しを。

(08/17)



中国茶メモ


●「甘いお茶飲料を飲まない」見分け方

 写真にあるように、糖分(甘味料)が「ある」、「ない」は、ペットボトルなどの外部に必ず表記がある(但し、2種類がある場合)。

 糖分が入っていないものは、「無糖」(中国で現在使われている簡体字表記。簡体字がわからなくても、なんとなく「無」に近い字なのでわかる。あるいは、入っている方との比較で、容易に理解できる)。

 入っているものは、「低糖」ないし「微糖」の表記が表記されている(こちらは、簡体字がわからなくても、我々が使っている繁体字に近い、ないし同じなので理解できる)。

 「低」「微」の文字には、ご注意を。いずれも「十分に甘い」。日本の感覚からすると「少し甘い」どころではない。


東山碧螺春(江蘇省)

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 龍井茶と並ぶ、中国緑茶を代表するお茶。蘇州から西に行った大きな湖・太湖にある、「東洞庭山(略して東山)」で作られる碧螺春を最上とするところから、この名に。「洞庭碧螺春」という呼び名で銘茶とする場合もある。

 東山では、傾斜した畑の果樹の下に茶樹を植えているので、茶畑の状態にはなっていない。

 螺は、タニシ。形状が丸まっているので、名前の一字となった。

 私の知る限り、中国茶の茶葉の中で最小のもの。100グラムに8000〜1万5000の茶葉が入っている。産毛が多いのも特徴で、そのために甘い(旨味)。





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